内容説明
平安の都は盗賊やつけ火が横行し、乱れはじめていた。だが、そんな世情をよそに、藤原道長は「この世をばわが世とぞ思う……」と歌に詠むほど、栄華を極めていた。紫式部はといえば『源氏物語』の人気に困惑気味の日々。そんななか、式部が訪れたあるお屋敷に、道長が瑠璃という謎の姫君を密かに住まわせていることを知る。式部はこの瑠璃姫と道長になぞらえて物語を書きはじめたものの、次第に現実と物語が重なってきて……。瑠璃姫とはいったい何者なのか? 式部が時の権力者に対して仕掛けた雅な意趣返しとは? 『源氏物語』をめぐる謎を解き明かす、平安王朝推理絵巻第3弾!/解説=荻原規子
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゃいろ子
31
大好きなシリーズ。毎回書いているけど、こちらを読むとまた源氏物語のその巻を読んじゃう。 香子をはじめおなじみの愛すべき登場人物たちが、オリジナルも、実在の方々も共にとても魅力的。 特に、辛い事の多かった元子女御が強くなり源頼定と結ばれる経緯も良かったなぁ。 そして以前玉葛十帖の感想で 藤原の瑠璃姫ーー!!と叫んだ私を更に叫ばせてくれた内容だった。 次が最終巻だと思うと、とてもさみしい。 解説の荻原規子さんもお得感。2025/01/19
kagetrasama-aoi(葵・橘)
26
“紫式部のサーガ”三部作のその三。「玉葛十帖」を道長と絡ることで、とっても魅力的な展開になっています。一人勝ちに見える道長、私は、あの「この世をば」のお和歌を聞く度に、“鼻持ちならない人物選手権”があったら、上位入賞間違いなし、と密かに思ってます(笑)。このお話読んでちょっと溜飲さがりました😀後書に寄ると、作者さま「宇治十帖」のお話に手をそめているとのこと。気長にお待ちしています。2019/12/10
のびすけ
25
平安王朝ミステリー第3弾。前作とはまた少し趣きが違ってミステリー色は薄かったけど、香子が綴る源氏物語の玉葛十帖と瑠璃姫の物語や、若菜の帖と道長が栄華を極めていく物語がお見事でとても面白かった。また華やかな宮中だけでなく、その裏側で生活に苦しむ下々がいることが内裏放火の事件と絡めて描かれている。この時代の光と陰、表と裏側の対比が興味深かった。宇治十帖のストーリーの構想もあるそうで、いつか第4弾が出ることを楽しみにしている。2024/04/21
きょん
22
「玉鬘」と「若菜」の成立時期の設定。玉鬘の瑠璃姫と作中現実が重なっていくのが面白い。権力と財力を握る男たちを手のひらで転がす女たちのしたたかさが素敵。2018/06/26
fullhouse
21
好きなシリーズ第3弾。 文庫化を待ってたー。 前2作に比べて、読みやすくなった印象。 つきあいが長くなって、古典を題材にした作品とはいえ、キャラクターたちが、なじんできたのかなー。2018/06/24