内容説明
中村武羅夫が文壇に名を売り出すきっかけになったのは雑誌『新潮』に明治41年(1908)からほぼ毎月発表した「作家訪問記」でした。今日風にいえば「直撃取材」し、そこで得た個人的印象、いわば「独断と偏見」を臆面もなく堂々と記したことで、読者の反響を呼び起こしたのです。 本書はその連載を書籍化したもので、版元を変えながら刊行されつづけた隠れたベストセラーであり、明治の文壇を知る好資料です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
qoop
8
明治末の文壇で名を馳せていた作家たちを訪れ、第一印象を記した一種のルポルタージュ。斟酌なく辛口で、わずかな時間の邂逅でそこまで云うかと呆気に取られる程。後日に印象が刷新された場合は素直に訂正、謝罪しているとはいえ、自信の目に対して多大な自負を感じさせる。これで新人編集者とは思えないものの、そもそも近代メディアの揺籃期のことであり、のちに名編集者となる人物が物した記事だと思えば含蓄深くも思えてしまう。作家と編集者の関係性がいかなる変遷を辿るのか、ここから追って行きたくなる。2021/11/21
スプリント
7
著名な文士たちへの対談集です。著者が好き嫌いをはっきりしているので単なる提灯対談になっていないのが面白いです。会う前は散々な評価をしていたのに対談後は評価が一変したりと柔軟な面もあるところが更に面白いです。2018/08/10
sk
3
明治の文士たちに実際に会って人物批評している。初対面にかかわらず読み込みがすごい。2019/07/07
rbyawa
1
h075、タイトルに「現代」とあってその年は明治42年、中村武羅夫さんは学生時代だったのかな…。新潮の名物編集者なもののなにかだいぶ悪評も多いよね…新潮系の編集さんたち何度も武羅夫さん来ないか確認されてたりするしね…。大胆な内容なものの面白いのはやっぱり藤村かなぁ(狂気の血筋を理智で押さえているという)、あと、たまに見る田山花袋の「友人たちが先んじて認められ」ってこの時期か…一年内に代表作書くからたまたま記録に残っちゃったのね。正直独善的な観察もある気はするものの…文学趣味の青年でこの冷静さなら十分かな。2018/10/01
飯田一史
1
文芸誌『新潮』編集者にして通俗小説家としても人気を博した著者が、アポなしで田山花袋や夏目漱石、与謝野晶子らの家を訪問し、人物評を記した傑作探訪記。2018/07/10
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