内容説明
97歳、今日も描き続ける洋画家の、22の無伴奏の記憶──
100年近い歳月に日本やパリでふれあった22人との交遊を、卓越した感性と描写力でつづった底光りするエッセイ。前作『とこしえのお嬢さん』につづき、永遠に埋もれかけた記憶のたぐいまれなる交遊の記録。カラー口絵付。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
kri
6
野見山暁治のエッセイ初読み。戦中戦後の激動の時代に画家として生きた野見山さんはとてつもなく濃い人々と出会ってきたことを知る。彼の漂然とした性格が呼び込んだ広がりであり、現代よりずっと生の繋がりが強かった時代ゆえでもあろう。小川国夫、秋野不矩、加山又造、井上長三郎…など味わい深い逸話ばかりだ。父親、野見山佐一の話とあとがきが良い。「当世の人々との共感…交流、その醸しだす空気が堰き止められているのに、みんなの口ずさむ歌が聴こえてくる訳はない。…無伴奏の中にいるぼくに、今後、新しい交遊が生れることはない」2021/07/01
コニコ@共楽
6
新聞の書評を読んで、手に取ってみた。聞いたことのある人もない人も、何十年前のパリと日本の白黒の風景が、人間くさく画になって浮かんでくるエッセイだった。「とこしえのお嬢さん 記憶のなかの人」も読んでみよう。2018/09/17
Toshiyuki Marumo
2
誰のものとも違う自分だけの文章で描かれた22の肖像。 ここにはなにものにも寄りかからず飄々と漂いながら時も場所も自在に往き来するような不思議な浮遊感があり、生きている人も死んでしまった人も同じようにとらえどころがない。 画家、野見山暁治の『みんな忘れた』に出てくる22人の中で名前だけを知っている人は半分くらい。 それでもこの本を読めば、野見山暁治の語った22人のことを忘れることは出来なくなる。 すべての記憶は今ここで生まれたばかりのような姿で生きている。 2018/10/09
tu-ta
1
まず、丸木俊=赤松俊子さんのところを読んだ。面白い。 次に井上長三郎、あの気骨のある画家が、と思っていたら、いじましくておかしい。彼が芸大教授を退職して九州に帰ったとき、父親は「バレたのか」と言ったとか。彼の絵はインチキだと思っていたらしい。水上勉と窪島さん親子の話も。丸木俊さんの話はこんな風。アトリエ村の先の湿地帯で、よく畑仕事をしていたという赤松俊子さん(当時)。 こんなことが書いてある。(ちょっと要約) (続く 2020/08/19
冨士田錬子
1
野見山暁治さんはどうしてこういう文が書けるのだろう。 画家でエッセイスト。登場人物には私も展覧会や著書を読んだりした方がいらっしゃるが、みんな亡くなられている。しかしそのような方が彷彿としてくる見事な語り口でまたとない文と思う。もっと読みたい。 2018/11/13
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