内容説明
人間には暴力・抑圧に支配されず対話を交わし、相互理解に到達する理性の力が与えられている。宗教や因習など非理性的な力を脱した近代社会において、民主的な原理はようやく一人立ちしたが、同時に支配のシステムは強大に、そこから生じる人間疎外も強固になり、コミュニケーション的理性の可能性は十分には実現できなかった。異なる利害を持った人間が意思を疎通し、行為を調整しあうにはどうしたら良いのか。あくまでも人間のコミュニケーションへの信頼を保とうとするハーバーマス。その全貌をとらえた一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はっせー
95
本当にためになった! この本はハーバーマスの考え方や理論について分かりやすく書いてあるものである。中岡さんが専門用語をなるべく使わずに分かりやすく書いたと本のあとがきに書いてあるように本当に分かりやすかった。ハーバーマスは様々な知識人と討論した。その結果としていまの理論がある。討論することによって自分の考えが洗練してきたと感じる。この本を読みコミュニケーションの必要性が一段と理解することができた。コミュニケーションの可能性を信じたいと思った!2019/11/02
壱萬参仟縁
36
現社の授業でも紹介したい。2022/07/30
壱萬参仟縁
28
思想家に対し「冷静な頭脳と温かい心」の持ち主が最大の賛辞(012頁)。『公共性の構造転換』は、18および19C初期の英仏独で市民的公共圏、「小さいが、批判的に討議をおこなう公共圏」が形成されたと主張する。独で「普遍的な読書する公衆」が、仏で社交界のサロンが、英で喫茶店が舞台となって「印刷物をつうじて文化、情報、娯楽」が伝達され「多かれ少なかれ討議のかたちで論争がたたかわされる」。「文化を論議する公衆」は私生活中心主義的な「文化を消費する」公衆に変質(「構造転換」し)市民的公共性は崩壊(057頁)。2018/05/24
かんがく
15
現在の私の興味関心にかなり合致している哲学者なので読んだ。ハーバーマスの思想をイチから解説していくというよりは、他の哲学者との論争を紹介し、その対比の中でハーバーマスの思想を明らかにしていくという書き方なのでやや難しい。ただ、討議や対話を通して討議や対話についての哲学を作り上げていくという姿勢はかっこいい。2023/05/30
ア
5
途中かなり難しいが、大変勉強になった。相手からの批判に応えつつ、相手の理論を批判的に取り込んで自身の理論を進化させてきたのが、ハーバーマスのすごいところ。2023/01/30
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