内容説明
舞台はヴィクトリア朝のロンドン、拡大鏡を片手に元軍医のワトソンとともに活躍した鷲のような鋭い目、細身で寡黙な探偵。そう、彼の名前はシャーロック・ホームズ。登場以来時代を超え全世界を魅了し続けてきたのは、なぜか? その疑問をもとに推理小説がどのように誕生し、黄金時代を迎えていったのかをホームズを起点に丹念に辿る。本書はその歴史、基礎知識を交えながら、イギリス、アメリカ、そして日本の推理小説を概観し、正当な評価を与えるべく英文学者、愛好家の視点から考察する。推理小説を愛する多くの読者に捧げる一冊。書き下ろしオリジナル作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
58
出したレーベルから、ホームズを含む探偵小説黄金時代と大英帝国の社会状況の分析的なものを期待して読み始めたのだが、実際は探偵を紹介する軽いエッセイといった趣。これはこれで楽しく読めるのだがホームズは流石に通史と当時の社会との関わり合いも書かれているのだが、その他の探偵は風貌とか本当に軽い紹介に終始しているのが何とも。昔この時代の探偵小説を読みふけった身としては、やはり物足りなさを読んでいる間中感じてしまう。それでも読み終えた今、ミステリが読みたくなっているのは、あの時代のミステリが持つ魅力故だろうなあ。2020/01/08
浅香山三郎
11
シャーロック・ホームズのシリーズの登場を、その母胎となつた19世紀イギリス社会、推理小説といふジャンルの系譜から解き、その後の推理小説の黄金時代を英・米・日について解説する。まことに分かりやすく、著者のミステリー愛に溢れる筆致もよい。本書も依頼原稿ではなく、書き下ろしてから出版社を探し、いきなりちくま学芸文庫になるタイプだつたといふから、熱意は相当なものだ。さらに詳しく知りたい人向けの、巻末の作品・参考文献リストも充実してゐる。2025/07/28
tieckP(ティークP)
5
学者本として「ちくま学芸」から出ているのだが、二見文庫から「これで分かる! 有名ミステリ作家大全」として出そうな内容で各作家について気ままに述べてある。かつ、推理作家によるうんちく本(たとえば有栖川有栖とか)のようなけれん味もないので、あまりおいしい本ではない。しかも誤植が多く、表の番号が間違ったり、ひどいものだと章の1文目が「二〇一一年の暮れ、築地本願寺から銀座まで、主人公と二人でぶらぶら歩いた折に」というレベルだったりするので、本として丁寧に作られた気がしない。でも書くのは楽しかっただろうな。2022/05/21
飯田一史
3
推理作家協会賞とか本格ミステリ大賞を獲るまたは候補になるようなタイプのミステリ評論が軒並み参照されて“いなくて”びっくりした2018/03/16
Jun Shino
2
ホームズ物語の分析からミステリー史へ。イギリスではチェスタトンのブラウン神父、さらにアガサ・クリスティーのポアロとミス・マープル、ドロシー・L・セイヤーズのピーター・ウィムジイ卿など華やかな黄金時代があった。 アメリカでは同時期にヴァン・ダインとエラリー・クイーンがライヴァルとしてアメリカの推理小説の水準を引き上げた、というのは興味深かった。そこへまたディクスン・カーが登場する。すごいメンツ。 イギリスではミステリは知的な読み物。アメリカでは、より大衆的。求められる探偵像も違ってくる。なるほどとなった。2020/01/25
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