内容説明
横丁、路地裏、色街跡、昭和の怪しさを訪ね歩く。話題作『東京最後の異界 鶯谷』著者の最新作! アメ横、パチンコ村、キムチ横丁、宝石街とスラム街、男色の歴史、昭和テイストな謎の風俗ビル、不忍池にたたずむ闇の女たち――数奇な歴史と大地の高低差が生んだ、日本一カオスな街。人はなぜこの街に引き寄せられるのか。潜入取材で描く上野の裏側と不思議な魅力、そこに生きる男と女を活写する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スパシーバ@日日是決戦
89
{2016年} 流行の発信地としていくつもの「日本初」を生んできた上野。公園、動物園、喫茶店、大博覧会、地下鉄、エレベーターガール、カツサンド、お子さまランチ、パンダ来日、モナリザ公開など。聖と俗が隣接する土地。男色を売る宿が繁盛し、「葵部落」と呼ばれる貧しい人々の集落が形成され、今は右手はアメ横、パチンコ村、ジュエリー問屋街、キムチ横丁。左手は国立西洋美術館などの文化ゾーン。そんな事はお構いなしと風俗店やラブホテル、たちんぼ、ホームレスといった社会から弾かれた人々がより集まってくる魑魅魍魎が跋扈する街。2016/09/15
honyomuhito
72
徳川幕府は鬼門封じのために上野に寛永寺を建て、不忍池を琵琶湖に見立て、琵琶湖の竹生島にならって不忍池に弁天島を築いたそうだ。陽と陰が隣り合わせにぴったり張り付いたような街。決して若いエネルギーに溢れているわけではないが、ずっと様々なものをのみこんでそこにある。ごっちゃごちゃですね。本の内容もごっちゃごちゃ。風俗。男色。部落。宝石街にアメ横。完熟街娼じいさんばあさん。コリアンタウンにはては永山則夫ときたもんだ。まさにカオス。https://chirakattahondana.com/上野アンダーグラウンド/2019/04/01
fwhd8325
35
北千住を起点にすると、上野は最初の繁華街。日比谷線を使うから、次の繁華街は銀座。子どもの頃は、ここまでが東京。乗り換えていく新宿、渋谷は、遠くまで来た印象だった。上野と銀座の中間にある秋葉原は、電気の専門街だけの街だった。あの頃、上野は、何でもある街だった。映画館、デパート、動物園。足を伸ばせば、浅草にも行ける。ハレとケが共存する街だ。今でも、この街には、気を許せない緊張感と安心感を感じる。ふと気を許すと肩すかしを食らいそうな街。本橋さんは、そんな上野の空気をしっかり活字にしてくれました。2016/10/25
おいしゃん
33
著者の事件ルポも好きだが、街シリーズも面白い。各章の脈絡なさが気になりつつも、上野の懐の深さを多面的に切り込んでいるとも読める。鶯谷・渋谷円山町・新橋に続き、興味深く読了。2021/10/22
kk
29
聖と俗と情念がないまぜに渦巻いて、独特の魅力と魔力を醸し出す街。そんな上野の来し方とそこに息づく人々の生き様に迫ろうとする怪作。よく知っていたつもりの街の違う横顔を垣間見る心持ちで、またしても己の無知の程を思い知らされました。風俗産業についての記述には些か辟易させられましたが、知的な興味もそれなりに唆られて、基本的には楽しく読める一冊でした。2022/06/08
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