ちくま新書<br> オカルト化する日本の教育 ──江戸しぐさと親学にひそむナショナリズム

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ちくま新書
オカルト化する日本の教育 ──江戸しぐさと親学にひそむナショナリズム

  • 著者名:原田実【著】
  • 価格 ¥770(本体¥700)
  • 筑摩書房(2018/06発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480071460

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内容説明

偽史・疑似科学にもとづく教育論が学校に定着しつつある。それが「江戸しぐさ」と「親学」。江戸しぐさは“江戸っ子”の行動哲学は素晴らしいと説く。親学は伝統的子育てにより、いじめや虐待から発達障害まで広く問題を解決できる、そのために親への教育が必要であると説く。国・地域・学校は連携して、子供が、国家及び社会の形成者として必要な資質を備えられるように家庭教育を支援しよう……などと教育行政に影響を与えている。これら欺瞞に満ちた教えはなぜ蔓延したのか。嘘がばれているのに、まかり通る背景にはなにがあるのか。

目次

第一章 「江戸しぐさ」とは何か
第二章 「親学」とは何か
第三章 親学の社会浸透
第四章 親学の人脈
第五章 「江戸しぐさ」「親学」を貫く陰謀論
第六章 オカルト・ナショナリズムの系譜と教育現場

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

厩戸皇子そっくりおじさん・寺

72
偽史研究家・原田実による、教育の現場に侵入している「江戸しぐさ」「親学」等の偽史、エセ科学を説明してくれている本。古代史についての言及もあり、日本史好きには嬉しい。本書を読んでいて私も厭だったのが「2分の1成人式」と「親守詩」。子供に感謝を強要するイベントはやめるべきである。黒歴史製造イベントではないか。私は片親だったので、今の時代に子供でなくて良かったと思う。ただでさえ「父の日」「母の日」なんて恥ずかしく、内心気持ち悪かったのに。子どもで感動する為の一切合切は止めるべきである。あと政治家は猛勉強しろ。 2018/09/15

HANA

72
江戸しぐさと親学の発生や、現在の教育現場での取り入れられ方を追った一冊。このうち江戸しぐさは著者が詳しく論じらものを読んで大体の事は知っていたのだが、親学の事は初めて耳にした。それでも大体の概要から社会浸透、人脈から陰謀論まで広くカバーされているので、大体の所は理解することができる。こういう恩の押し付け、どうも苦手である。ただ一番面白いのは最後に付された陰謀論の系譜。戦前のオカルトから戦後の古代史ブームまで、陰謀とイデオロギーの相性の良さがこれでもかと書かれている。陰謀論を好むのは右派左派関係ないよなあ。2018/07/01

♪みどりpiyopiyo♪

71
例えば、米国のキリスト教右派が天動説や創造論(世界は創造主なる神によって7日間で作られた)を公教育に持ち込もうとする事は馬鹿げているって分かるよね? なのに、日本で「水からの伝言」「江戸しぐさ」「日本の伝統的子育て」「親学」「誕生学」(全部デタラメ)等を公教育に持ち込もうとする勢力には疑問を持たないとしたら? ■改めて考えたことのない人にも、既に問題意識を持っている人にも、こうして事実関係を淡々と検証し系統だてた資料があることは大切だと思います。分かりやすいから みんなも読んでみて☆ (2018年)(→続2018/07/14

oldman獺祭魚翁

53
今年小学校で「道徳」が正式な科目になりました。本来道徳教育というものは、国家が統制管理するべき物ではありません。更にその教科書に偽史といわれる「江戸しぐさ」が載っていたり、教育現場で「親学」と称する宗教的背景を持つエセ教育学が幅を利かす状況を解説している。著者は偽史問題に関するスペシャリストですが、どうも話が面白くないというか、生真面目な部分が強く、決して面白い本ですが、今の教育現場で何が起きているか知るためにも読んでおきたい本です。2018/07/10

たまきら

38
へえ!知らなかったなあ。江戸しぐさと言えば電車のあちこちで見たものですが、一人の江戸にあこがれる男性の創作である可能性が高いとは。…娘が保育園の頃、「マナーキッズプロジェクト」という人たちのレクチャがあり、(へえ、いいな)と思ったのですが、娘が家に持って帰ってきた資料に違和感があり、調べたら日本会議と深くかかわっていると知りビックリしたことがありました。子どもへの教育は洗脳にもつながりかねず、バランスのとり方が親にかかっているのでは?と心配になったのですが、この本の内容にも近似性を感じました。2018/11/19

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