ちくま新書<br> 暴走する能力主義 ──教育と現代社会の病理

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ちくま新書
暴走する能力主義 ──教育と現代社会の病理

  • 著者名:中村高康【著】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 筑摩書房(2018/06発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480071514

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内容説明

学習指導要領が改訂された。そこでは新しい時代に身につけるべき「能力」が想定され、教育内容が大きく変えられている。この背景には、教育の大衆化という事態がある。大学教育が普及することで、逆に学歴や学力といった従来型の能力指標の正当性が失われはじめたからだ。その結果、これまで抑制されていた「能力」への疑問が噴出し、〈能力不安〉が煽られるようになった。だが、矢継ぎ早な教育改革が目標とする抽象的な「能力」にどのような意味があるのか。本書では、気鋭の教育社会学者が、「能力」のあり方が揺らぐ現代社会を分析し、私たちが生きる社会とは何なのか、その構造をくっきりと描く。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ネギっ子gen

72
【学歴や学力といった従来型の能力指標の正当性が失われはじめ、これまで抑制されていた「能力」への疑問が噴出している】教育社会学者が、「能力」のあり方が揺らぐ現代社会を分析し、私たちが生きている社会の構造を描き出した新書。<特定の方向にオアシスがあると決めつけて、全員をそこに向かわせようとするのは得策ではない。なぜなら、予測不能な状況下では、全員ががんばってかけつけてみたがそこにはオアシスがなかった、ということはいくらでも起こりうるからである。そうした状況において大事なのは、むしろリスクヘッジである>と。⇒2024/01/14

ゆう。

35
新しい学習指導要領などがめざす能力主義に対して批判的に検討した内容です。少し僕には難しかったです。能力という概念は抽象的なものでもあり、何をもって能力を身に付けたとするのかは非常に難しい判断です。学歴やIQにしても能力の一つの側面を示しているにすぎません。能力は常に問われているといえるのでしょう。この著書ではそうした能力をギデンスの社会学の力を借りながら分析をすすめています。少し疑問に残ったのは能力と階級との関係です。そこの分析が能力論を語る上では欠かせないのではないかとも思いました。2018/10/26

きいち

34
高い納得感。◇VUCAの時代、恒常的な正解は原理的に望めない。教育のような時間がたたねば結果が見えない分野で、抜本的な改革で既存のアセットをムダにしてしまってやり直す余裕などない。必要なのは注意深い検証と慎重な修整、リスクヘッジだと著者。つまり遅さこそが価値のある行動になる。◇全編のキーコンセプトはギデンズ「再帰性」。決定は常に暫定のものだから、常態的なモニタリングが要求される。「改革のための改革」への不思議な熱は、誰か個人が抱いているものではないのだ。あえて落ち着かねば暴走してしまうのは当然…なるほど。2018/08/18

樋口佳之

31
新書らしい簡潔な議論でした。/私たちがいえるのは、読み書きや義務教育で現在教えられているような基礎的知識・技能の必要性はしばらく続くだろうということ、個別の職業や社会集団の中で必要とされる具体的な技能や能力はそれぞれの状況の中で鍛えていかなければならないだろう、という単純なことぐらい/「二一世紀に特別に必要な、みんなに共通する能力」などという抽象的議論を好んでするかどうかが、私の中ではその知識人の探求的思考の有無を判別する便利なリトマス試験紙にさえなっている。/職種別の収入分布が問題かな2018/10/28

kan

26
確かに、21世紀スキルやキーコンピテンシーの概念を教育現場に導入しようとしても空回りし本質的な議論になりにくい。それは、「新しい能力」論を人々が渇望することで、測定不可能な能力を教科教育に落とし込もうとして無理や矛盾が生じているからだ。教科のみならず、探究や課外活動を主体性や協働力の枠組みで測定しようとすると途端に面白くなくなるなあ、と頷きながら読んだ。どんなに時代が変わっても大切なものはさほど変わらない。メリトクラシーには再帰性が備わっていることから、「新しい能力」に踊らされず本質を見るようにしたい。2022/11/22

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