内容説明
歌舞伎や芸能を観賞してこのような感想をもったことがありませんか?
・このノリの悪いのは、なんとかならないのか!
・何をいってるのかさっぱり聞きとれなくて眠い!
・どうしていつも語尾を長く震わせているのか?
いずれも理由があるのです。日本音楽には日本人が大切にしてきた心が宿っているのです。
近世日本音楽の第一人者が15の疑問に答える類例のない構成。
読めば歌舞伎、能楽がもっと深く、広く、長く、楽しめるようになります!
地震、暴風雨、水害、旱魃、火事や病気など、
気を休めるひまのない国でした。
多くの人がそれらの災害で命を失っています。
にもかかわらず、それに負けずに今日まで伝承され、生きているのは、
神が宿っていたからだと考えたのでしょう。
ですから日本人は内容も言葉もメロディーも
正確に後の世に伝えて行かなくては、
先人に申しわけがないと考えました。(本文より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
qoop
7
多くの日本人にとってもはや縁遠いものとなった日本の伝統的な音楽。西洋音楽になれた耳にとってどう聴けば勘所が掴めるのかを解説したのが本書。生で聴いてほしいがその機会にアクセスし辛いのが難…と随所で繰り返す点に、著者の苦衷が伝わってくる。しかし邦楽業界の、一部でしか機能しない集金/集客システムの代わりを西洋音楽風のコンサート形式に求めるように見受けられるが、それはどうだろうか。そうしたシステムの破綻が声高に訴えられている昨今の問題意識とは思えない。元の文章が少々古いようでもあるし、それは仕方ないのかな。2017/07/19
じょうこ
6
なぜメロディがないのか? なぜノリが悪いのか等々12のなぜの切り口とその解説が興味深い。ちなみに、日本音楽とは雅楽、能楽、三味線と大別。雅楽は中国輸入なので正確には除きたいというのが著者の主張。「なぜ何を言ってるのかわからないのか」では、聴いたこともないのだからわからなくて当然、と痛快。ただ時代が経ても変わらない、形のないものを表現しているのだからそれを味わい、そのことがわかると至福だよ、と。言葉の枝葉末節にこだわらず無心に受け入れる余裕があれば自然にわかる、と。全くだー!枝葉末節も面白くなるよー。 2020/07/29
石橋
2
邦楽を高みにおいて他文化をけなすような物言いが多い。小唄を教わっているので日本音楽の体系を知ろうと思って読んだが、文章は散文的で前後がつながらない所もある。邦楽界の現状に対する苦しい思いもあるだろうが、これを読んだ人が日本音楽を楽しめるようになるとは思えない。2018/02/08
Nana Gotoh
1
概説的で読みやすかったです。日本の音楽は言葉(詞)を優先し、器楽曲は発達しなかった背景は納得できました。2020/07/05
なをみん
0
「日本音楽を聴くことに集中し、考えてきたことをまとめた」という1932年生まれの著者。意外と知らなかった自分の国の音楽の話をぶっちゃけ気味に語り散らしてくれる一冊。「このままでは日本音楽がなくなってしまいそう」という危機感は共感もできるけど、もう少し他の本も読んでみたり、そろそろ日本の音楽を聴く機会も増やしていかねばなあ。とも思うのだけど。2023/07/22