内容説明
シングルマザーで官能小説家、初恋に暴走する中学生など、不器用な愛が弾ける女性たち。生きづらさも涙も明日の力こぶに変わる! はちきれそうな人生の輝きを詰め込んだ短篇集。
「初恋」 …12歳の体の中を暴れまわる“恋する本能”。女性同士だって関係ない。
「譲治のために」 …聡明で可愛い息子が、いつしか私の人生を狂わせていく。
「メアリーとセッツ」 …長いひきこもり生活が、正体不明の少年に打破されて――
「官能小説家の一日」 …乳飲み子をあやし、今日も私はエロの本能を呼び覚ます。
「世界裏」 …若書きのホラー小説が、恐ろしき日常の裏面をくつがえし……
「戦うなと彼らは言った」 …ファンタジー小説家は、いじめられた男子生徒の前でなにができるのか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
風眠
102
チラシの裏とかノートとか、紙に気持ちを書き殴るとすっきりする。溢れはみ出す感情に手が追いつかず、自分にしか読めないような汚ったない字になって。支離滅裂に繰り返す言葉でめちゃくちゃな上に、着地点を完全に見失った文。だいたいは手の方が先に根をあげ、書き殴りは終わる。逆に、文章をきちんと整えようとすると書けなかったりするから不思議なものだ。それはきっと、無意識に自分に見栄をはっているから。自分でも整理できていない剥き出しの心と向き合うのは、とても難しいことなのだ。感情という爆弾を持て余す女達の、多種多様な物語。2018/05/20
ででんでん
96
朝比奈さんの本であることと、タイトルとカバーイラストと…いろんな要素でとても期待値を上げて読み始めた。合間合間にとぎれとぎれに読んだこともあり、全体としてはいまひとつ楽しめなかった。「官能小説家の一日」はよかった。たいちゃんはかわいく、語り手である母ちゃんが気持ちよい。「戦うなと彼らは言った」は、後半になるにつれ、本ってどういうものなのか、特に不安定な時を生きる若い世代にとって…というメッセージが伝わってくる、私にとってはキラリと輝く作品だった。最後のページはじんと来た。2018/06/22
fwhd8325
93
誰でもどこかに爆弾を抱えているってことなのかな。あまり爆弾らしくなかった「初恋」が、作品の中では一番わかりやすかったかな。作品の空気も違うものだし、それぞれの短編が楽しめるのだけど、私には、少しざわざわ感が違っていたようでした。独自の世界かを持った作家さんのようなので、ほかの作品も読んでみたいと思います。2018/10/06
うどん
92
面白かった!特に「官能小説家の一日」。笑っちゃいました🤣2018/06/05
えりこんぐ🐤
67
女性作家しばりの6つの短編。ホラーテイスト、和むもの、いろいろ混ざってるけど連作短編ではないよね? シングルマザーの官能小説家が面白くて自分も頑張ろうって思った。全体的に、普段の朝比奈さんを期待して読むとパンチ弱め。2018/05/19