内容説明
永年にわたるダンゴムシやオオグソクムシなどの研究を通じて、心とは「隠れた活動体」であると定義した動物行動学者による最新作。「心」は、ヒト以外の生物にはもちろん、石などの無生物にさえあると説き、私たちが「何かをしたいと思う気持ち」にも、話す言葉にも「隠れた存在」はあるのだと、新たな世界の見方を提示する衝撃の論考。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マーブル
14
「発信者が意味から言葉を、受信者が受け取った言葉から意味を、それぞれ創発し、最後に発信者が意味の伝達感をでっちあげる過程」著者は言葉によるコミュニケーションのひとつのタイプをそのように規定し、「創発型」と呼ぶ。それに対し、「発信者が状況に即して意味から言葉を『選択』し、受信者が状況に即して受け取った言葉から意味を『選択』する過程」を「状況依存型」と呼ぶ。言葉によるコミュニケーションについては胸を突かれる想いがしたが、筆者が語る行動決定機構については理解が半ばまでしか及ばなかった。 2023/04/16
ぺったらぺたら子
13
ああ自由だ。ダンゴムシの研究から得たものは勿論だが、寧ろほぼ霊感と自らの生活、経験、観察からの思索であり、それを平易な自分の言葉だけで語る。知とは、そもそも知らない事を知るのではなく、知っていながら知らない振りをしている事を浮上させる営みなのだ。それにはまず思考を縛る箍をはずさねばなるまい。世界が広がり、振動し、響く音が聴こえる。限りなく響く事をまた世界とも呼ぶ。そして未踏ルートでアニミズムへと至る。世界とは何かという問いが、自由とは、他者とは、表現とは何か、多様であるとはどういう事か、と一気に繋がった。2018/03/18
yu yu
8
思ってたのと違ったけれど面白いところもありました。ダンゴムシのところとか。2018/02/14
リアル本屋さんを増やそう
5
これはないでしょう.世界とは私の夢なのかとその実在を問うたり,哲学的な第1級の問題を提示しながら,いや世界は実在するという答えの理由は,だって自分がそう実感するから,というレベルの域を超えない.もっと論理を詰めるか,自然科学のアプローチで検証する(ダンゴムシ実験については後で書きます)かしないと読むに値しない.編集者と著者の方,永井均,中島義道,入不二基義,あたりと本書を読み比べてほしい.あるいは郡司ペギオ幸雄というのもある.モノに心はあるのか,新潮選書なら,素人を超えた考察を出版して.2023/03/03
もくそん元帥
5
本書を読んで、『夢十夜』にある運慶の話を思い出した。 (若い男が運慶の彫刻を見て)「なに、あれは眉や鼻を鑿で作るんじゃない。あの通りの眉や鼻が木の中に埋うまっているのを、鑿のみと槌つちの力で掘り出すまでだ。まるで土の中から石を掘り出すようなものだからけっして間違うはずはない」と言った。 モノそのものにも「意志」があるのかな。2018/10/16
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