新潮選書<br> 未完の西郷隆盛―日本人はなぜ論じ続けるのか―(新潮選書)

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新潮選書
未完の西郷隆盛―日本人はなぜ論じ続けるのか―(新潮選書)

  • 著者名:先崎彰容【著】
  • 価格 ¥1,144(本体¥1,040)
  • 新潮社(2018/06発売)
  • ゆれるコスモス!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント25倍キャンペーン(~9/16)
  • ポイント 250pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784106038204

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内容説明

アジアか西洋か。道徳か経済か。天皇か革命か――日本人はいつも自らの理想とする「国のかたち」を西郷に投影し、「第二の維新」による「もう一つの日本」の実現を求めてきた。福澤諭吉から中江兆民、頭山満、丸山眞男、橋川文三、三島由紀夫、江藤淳、司馬遼太郎まで、近代化の是非を問い続けてきた思想家たちの一五〇年。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

120
明治維新を成し遂げた革命家でありながら、不平士族を率いて自ら作った政府に反逆した男。前者の近代化路線は過去と断絶し大国への道を驀進した果てに百年足らずで破綻し、後者の唱える伝統重視の反近代主義は政治的説得力に欠ける。明治以後の日本は双方から引き裂かれ、明確な「国のかたち」が見えてこなかった。この大いなる矛盾を一身に体現したからこそ、西郷隆盛はそれぞれの立場で歴史と思想を考える上で理想を仮託し、意味ある生と死を論じる格好の存在となったのだ。疫病と戦争と不況が続く今日、一方に収斂することなく議論は続くだろう。2022/11/15

えちぜんや よーた

85
話が観念的なせいか分かりにくかった。ただ「西郷どん」で「南の島編」が絶賛放映中なので、西郷が奄美大島・徳之島・沖永良部島で見て感じたことを先回りして調べておきたい人にはちょうど良いかも。156ページから162ページまで流罪時代のことが記されています。2018/05/25

おさむ

35
日本の近代化に対抗する「反近代」の偶像として捉えられてきた西郷隆盛。古くは福沢諭吉、中江兆民、頭山満、橋川文三、江藤淳、三島由紀夫、そして司馬遼太郎ら名だたる思想家が、自説の材料として好き勝手に引用してきた、とも言える。それだけ多面性がある人物なのでしょう。かつて勝海舟が、西郷を大きく打てば大きく響き、小さく打てば小さく響く鐘のような人物と評しましたが、通じるものを感じました。今年の大河ドラマ「西郷どん」を毎週観ていたお陰で、理解が一層深まりました笑。2018/09/13

Y2K☮

30
名著。西郷は日本の独立を守るために欧米から学ぶ必要性を感じていた。一方で自分たちの価値観だけを物差しにして異文化を見下し、無知につけこんで搾取する列強のやり方は野蛮だと考えていた。東洋道徳と西洋合理主義の止揚を彼なら形にできた気がする。西南戦争と太平洋戦争を結びつけた江藤淳は慧眼だし、前者における旧士族の敗北が国から「抵抗の精神」を失わせたという福澤諭吉の見解にも同意。ヤポネシアに関するくだりも世が世なら危険視されかねないが説得力十分。己に厳しく知行合一を求め、死を恐れぬ陽明学の意外な弱点を覚えておこう。2024/06/20

禿童子

27
西郷隆盛フリークは一度読んでおいたほうがいいかも。ルソーに心酔した中江兆民が西郷をかつぎ出そうとしていた話が面白かった。三島由紀夫の陽明学からの西郷理解は通説に近い。橋川文三のヤポネシアからの見方は「発明」といったほうがいいような。福沢諭吉、頭山満、竹内好、江藤淳と、いくらでも論者が出てくるけど、いつまでも結論が出ない。だから「未完」なんですね。明治150年というけど、いい加減「明治」を卒業できないのか、大河ドラマも。2018/04/30

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