内容説明
若干14歳で専門家にも困難な核融合炉製造に成功、数々の賞に輝いたテイラー・ウィルソン。「ギフテッド」と呼ばれる天才児はいかに育てられたのか。不可能を可能にした早熟の天才を長期取材、余すところなくその異能の肖像を描いたサイエンス・ノンフィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
honyomuhito
75
世の中のお父さんお母さん。もしあなたのお子さんに「核融合に興味があるんだ。車庫に核融合炉作っていい?」と言われたらどうします?張り倒して止めてしまうかもしれない、子どもいないけど。「ギフテッド」と呼ばれる天才児たちをどのように育てていけばいいかについて書かれた本である。テイラーの両親は息子の話を辛抱強く聞き、したいことを優先させ、止めることをしない。良い環境に置かれると人間はどこまで伸びるのかについてはとても興味深い。https://chirakattahondana.com/太陽を創った少年/2019/05/11
Willie the Wildcat
68
テイラーの天賦の才に、疑いの余地はない。加えて、転機を齎した様々な出会いもその才。但し、才能開化の根底にあるのが、両親の子育て方針。”らしさ”に気付き、育む・・・。言うは易く行うは難し!最大の障壁は、親自身を含めた既成概念。ISEFでの敗北や失恋など、研究のみならず恋愛での挫折が糧となり、人として成長していく過程が印象的。一方、”ギフテッド”の功罪が、テイラー/ジョーイ兄弟に垣間見ることができる。学校という集団の中で、個々人の能力を伸ばす教育の難しさを再認識させられる。 2018/11/03
moshi
15
14歳で核融合炉を作った実在の少年の話。少年の並外れた知能と好奇心、行動力はもとより、彼を支え、挑戦させる周りの大人がすごい。だれよりも親が。だって普通、我が子が放射性物質に興味を持ってガレージで実験し始めるのを応援できるだろうか。ちなみに親は科学者でも研究者でもない。でもあえてここで禁止するのではなく、専門家に相談して、安全面の確認等のサポートを受けさせることで、本人の安全意識を育み、才能を開花させた。これは本当に「挑戦する教育」だと思う。刺激的な実話。子どもの才能の扱いについて考えさせられる。2018/08/25
ふぇるけん
13
以前読んだ『理系の子』でも紹介されていた、14歳にして核融合炉を作ってしまった少年の話。小さいころから並外れた好奇心と実行力でロケットや花火などを作り、ネバダ州に移ってフューザーで恒星の内部を再現したときの様子は読んでいるだけで興奮した。そして、本書でも再三触れられていたのは、テイラー少年がすごいのはもちろんだが、ガレージで爆発物や放射性物質を扱うのを見守り、適切なサポートをした両親だろう。今年読んだ中でもベスト3に入る一冊。2018/08/15
橘
11
息子が核融合炉を作りたいと言い出したら、どうする?本書は、14歳で核融合反応を成功させた実践的な原子核物理学者と、その周囲の人々を取材したノンフィクションである。型破りな少年がガレージで始めた工作が、実験室での核反応、そしてその先の役立つ何かに変わる。提示されるのは、子どもの好奇心に向き合い挑戦させる子育ての視点だ。2019/11/30