内容説明
1959年4月、M大を卒業したばかりの芥洋介は、株式会社宣友へ入社する。彼を待っていたのは広告代理店草創期のアナーキーな日常と、苛烈な自意識をぶつけ合う同僚たちだった。皇太子ご成婚、東京オリンピック、そしてザ・ビートルズの来日。時代の奔流の中、今は何者でもないけれど何者かであるはずだ、と信じてもがき、走った青春の日々。日本の歌謡曲を牽引した作詞家・阿久悠による自伝的小説。
目次
会社へ行ったら月光仮面がいた
スーパーマンも自殺する
どこから見ても地球は青い
東京の空の下 春歌が流れる
巨大迷路の真中で
嵐の羽田にビートルズ
無名夢想――あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
106
阿久さんの小説ですが自伝小説なのでしょう。大学を出て入った宣伝会社が銀座にあり昭和30年代のその当時の状況などがよくわかります。物価や出来事など資料的な意味もあるような感じでした。私はまだ中学くらいでしたが当時の東京の状況については知っていたのdなつかしく感じました。読んでいるとやはり文才というか作詞家だけあってその当時のイメージが目に浮かんできます。2018/06/29
ぐうぐう
29
無名時代とは、有名時代があってこそ成立する言葉だ。阿久悠が、まだ深田公之だった頃の、これは物語。阿久が広告代理店に勤務していた時、同じ職場に上村一夫がいたことは誰もが知っていることだが、ゆえに上村との交流がメインに描かれているのかと思いきや、この自伝的小説での上村の存在はそれほど大きくはない。とはいえ「初めて出会った同じ言葉を有する人間で、彼を手放したら、二度と同じ言葉で話すことが出来なくなるのではないか、とさえ思っていた」という熱い記述もあるので、(つづく)2019/09/16
しーふぉ
21
自伝的小説マニアにはたまらない作品です。熱い昭和な雰囲気に浸れます。2022/08/26
深月
4
自伝的小説。阿久悠が阿久悠になる前の話だから無名時代なんだと気づいたのは中盤に差し掛かってからだった。五千円あれば生ビール中ジョッキで四十杯飲める、帝国ホテルのツインが三千五百円、ピースが三個で百二十円。昭和三十四年から始まる物語は「出来そうなことを見つけて、先に名乗りを上げれば、その世界での権威になれるってことだよ」それがなになのか、自分が出来ることをがむしゃらに探して必死に生きてる芥洋介の6年の物語。2018/05/18
スターリーナイト
2
2019-49 思い出すなスター誕生2019/06/25