内容説明
7年ぶりに、「盛綱陣屋」の微妙役への出演依頼があった老歌舞伎俳優・中村雅楽。しかし、雅楽は子役の配役が気にいらず、出演をなかなか快諾しない。そんな中、法要のため大阪を訪れた雅楽は、友人の竹野記者とともに帰京する新幹線のグリーン車で、一人の幼い少女と隣同士になる。東京へ到着する直前に「陣屋」への出演を決意した理由とは? 《中村雅楽探偵全集》第二巻は、第29回日本推理作家協会賞を受賞した「グリーン車の子供」を含む全18編。日本推理作家協会賞受賞時の著者の言葉など、資料も併録。【収録作】「ラッキー・シート」/「写真のすすめ」/「密室の鎧」/「一人二役」/「ラスト・シーン」/「臨時停留所」/「隣家の消息」/「美少年の死」/「八人目の寺子」/「句会の短冊」/「虎の巻紛失」/「三人目の権八」/「西の桟敷」/「光源氏の醜聞」/「襲名の扇子」/「グリーン車の子供」/「日本のミミ」/「妹の縁談」/徳間ノベルズ版『グリーン車の子供』 あとがき=戸板康二/受賞の言葉=戸板康二/創元推理文庫版解題=日下三蔵
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
geshi
37
日常の謎というミステリジャンルの祖といえる、歌舞伎の世界を内幕から見た地に足のついた短編集。『グリーン車の子供』短いグリーン車内の描写の中に潜まれた伏線が雅楽の推理によって繋がり「何が謎解きだったのか」を現出させる完璧なつくり。『密室の鎧』ミステリのお遊び的な空気に歌舞伎ならではのギミックをあてこんだ楽しさ。『一人二役』竹野記者を捜査の主体にした変化球だが雅楽の推理で事件の構図を明らかにするストライク。『美少年の死』狂気といえる殺意をあくまで物証から導いていく現実的な視線が特殊だなぁ。2021/01/04
ベルガモット
14
傑作と名高い表題作、やっと手に取りました。老歌舞伎役者・中村雅楽シリーズ。ミステリ短編の、特に安楽椅子ものとしてのお手本のようないろいろな趣向の作品が詰まっています。作風としてはちょっと地味かもしれないけれど、歌舞伎という世界の独特な美意識、役者同士の駆け引き、そういった裏側も楽しめました。表題作はやっぱり面白かったし『隣家の消息』とか話の見せ方がうまいものが多いなあと感じました。2018/03/17
てっちゃん
13
殺人事件がなくてもミステリーになるというお手本のような作品集。表題作の「グリーン車の子供」は他の作品集なんかによく取り上げられていて、子供の正体の2段構えの解決の斬れ味は何度読んでも面白い。けれど、他の方も書いていたけど、この作品以外にも、同じぐらいのレベルの作品が目白押しで、本当にはずれの作品はない。この中村雅楽の全集はまだ続きがあるので楽しみ。2022/10/26
ラグエル
12
「グリーン車の子供」を今朝ラジオ文芸館で途中まで聞いてすごく気になったので見つけて読みました。作られたようなセリフとそれについての記者の感想が確かにちょっと気にはなっていたんですけど、そういうことでしたか。解く雅楽もすごいけど、仕組むほうもすごいですよね。芝居の世界、怖い。2013/05/04
みっつ
12
日本推理作家協会賞を受賞した表題作を筆頭に傑作短編揃いの全集第2巻。前巻と比べて殺人事件の頻度が下がり、日常の謎を扱った作品が増えて更に作風に幅が出てきた印象。華麗な転身を成し遂げた柔軟性が凄い。今から30年以上前に、こんなに質の高い日常の謎を描き続けた作家がいた事に驚きを禁じ得ない。2011/11/07
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