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内容説明
戦後の新たな才能を次々と世に送り出した編集者・坂本一亀は戦後日本に何を問うたのか?妥協なき精神で作家と文学に対峙し、〈戦後〉という時代を作った編集者の軌跡に迫る評伝の決定版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイティ
36
かつて一亀の部下だった著者による、編集者としての仕事の軌跡を綴った評伝。一亀は戦時中の青年期を経て、同世代の若者を育てたいという使命感を持って河出書房に入社、『文藝』の復刊と新人発掘のための「文藝賞」創設に尽力。現代では考えられない破天荒で強烈な人間関係と仕事のやり方が通用していた時代だが、彼自身は豪傑というより緊張と抑圧が抜けない繊細な人物だったように感じる。目をかけた作家は徹底的に面倒を見る信念の持ち主で、組織には向かない頑固さゆえ敵も多かったが、仕事への飽くなき情熱、猛進する姿勢に胸を打たれた。2025/01/30
kawa
36
野間宏、三島由紀夫、高橋和巳ら終戦直後の日本の文学界を担った人々を、編集者の立場でサポートした坂本一亀氏の評伝。彼の一人息子が昨年亡くなった坂本龍一氏で、本書の再発を強く希望していたことを知っての本書。数多くの著名作家から頼られてのサポート実績が氏の功績だと思うのだが、戦争の残滓とも見えるパワハラでブラックな印象が強烈過ぎて、本当のところの凄さがいまいち伝わってこない印象もある。とは言え、「真空地帯」等の氏が関わった名作の数々を読みたい欲求を引き出されたことは間違いないところ。2024/11/26
阿部義彦
25
私の好きな二大出版社は筑摩書房とこの坂本一亀さんがいた河出書房新社です。手がけた本では野間宏も中村真一郎も読んでません。でも「仮面の告白」は流石に読んでました。その群れない我が道を行く編集者魂には脱帽です。さぞ敵も多かったと思います。編集者たるものサラリーマンではいけない! 直情径行の人で遠慮会釈なしに新人にダメ出しをする。しかしこの人無しには大作を完成出来なかった著者は数しれず。安全な大御所作家は眼中に無く自分の目を付けた新人をひたすら面倒を見る。息子の坂本龍一の事も触れてあり興味が尽きませんでした。2018/04/29
ステビア
16
伝説と呼ばれるにふさわしい編集者である。頑固な人だったようだ。坂本龍一の父だという事実を知り、驚いた。2020/04/05
ゆうすけ
8
坂本龍一が先日亡くなり、いろんな特集が組まれる中で父親が河出書房の敏腕編集者だったと知り読みんでみました。いやあ、実に強烈な人です。現代基準だとパワハラでアウトなことは間違いない。戦争で生き残って、戦後は余命だったと言い切る。そしてアノニマスの人、なるほど。会社組織の中で、生きていくのはさざかし大変だったと思う。それにしても担当した作家の錚々たる名前にただただ恐れ入ります。河出文庫から出版されて本当によかったです。2023/08/11