内容説明
壮絶な介護の末に母を送ったあの日から10年。いま、冬子は自ら終わりを見据えはじめる……正面から「人生」と向き合い問い続けた先に開ける、真の自由を描く著者20年ぶりの傑作長篇!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
65
認知症になった母を自宅で7年間介護し続けた娘。母を残して自分が先に死ぬわけにはいかないと、大量のサプリを飲み、交通事故にも気をつける日々。私も実母が好きで介護をしていましたが、途中で挫折して施設にお願いしたので、7年間という日々を思い絶句。お母様には冬子さんがいらしたけれど、冬子さんの介護はどうなのかと不安になります。40年間続けている絵本専門のお店をどうするのか。終活をしだした冬子さん。お店の後を託せる路子さんが居る事にホッとしつつ、そんな人が身近に居る事に嫉妬する自分を発見。今の私にストライクな本。2019/03/17
もぐたん
33
いつかは、人生が終わる。病気や老いは家族の在りかたにも影を落とすことがよくある。そこで露になるこれまでの家族の思いや関係性が、人生の終末を如何様にも変えてしまう。認知症で介護される側はポロポロと抜け落ちていく記憶に恐怖するうちが一番辛いだろうし、介護する側も心の隅にある空洞を自分で埋めることに腐心する。主人公は喪失と哀しみの末、あらゆる事柄から解放されるが、自分の今の生き方、家族の見送りかたを考えさせられた一冊。★★★☆☆2020/05/17
シュシュ
31
自宅で母の介護をし、そのまま看取った冬子。初めは介護体験のエッセイなのかと思って読んでいたら小説だった。冬子は、父親を知らずに育ち、現在は絵本の専門店を経営している。このあたりは著者と同じ。途中で私の知ってる絵本が数冊登場した。反原発の冬子だが、周囲には原発容認の立場の人もいる。こういう状況が自然に描かれていて、そうだよね~と思ってしまった。恋人や友人にも先立たれ、この先の自分の人生の終いかたを考えるところで終っていた。介護の場面がとてもリアルだった。私もいつかそうなるだろうな。読んでよかった。 2018/06/18
吾亦紅
28
母を看取り、愛する友人や恋人を見送ってきた主人公。自分の死を意識してから、経営する本屋をスタッフに譲る手筈を整えたときに、長い間流していなかった涙を流す。母ひとり子ひとりの幼い頃の、絵本の読み聞かせの場面がとても美しい。落合恵子さんの自叙伝ともとれるような小説。「本を読むのも幸せだけど、まだ読んでない本があるのは、もっと幸せ。だから、おかあさんは、本屋さんが大好き」2019/02/27
ちょん
27
母親の介護とその先に待ち受けるもの、のお話。私と母親は誕生日月が同じなのですが、毎年母にお願いするのは「私より長生きしてください、お母さんいないと何も出来ない」です。いい大人になってなんて言葉だ(笑)でも、自分の母親がいない世界は想像できないです。私が生まれた時から1番そばに居てくれた人、最後もそばにいて欲しい、と思う私は完璧なマザコンです✨自分が先に死んで、母のそばで待ってて、母が亡くなったら一緒にあの世に行きたい。勝手な感想でごめんなさい。2021/04/28
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