内容説明
「答えは必ずある」などと思ってはいけない。“勉強”で染みついた呪縛を解くことが、「知の体力」に目覚める第一歩になる。「質問からすべては始まる」「孤独になる時間を持て」「自分で自分を評価しない」「言葉にできないことの大切さとは」――。細胞生物学者にして日本を代表する歌人でもある著者が、これから学ぶ人、一生学び続けたい人たちにやさしく語りかける。自力で生きぬくための本物の「知」の鍛錬法。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
kaoru
83
歌人であり細胞生物学者である永田和宏さんが語る知の力。自身の挫折体験をも踏まえつつ知識のインプットばかりに力点が置かれアウトプットへの訓練が足りない現在の学校教育への批判。湯川博士も学んだ孤高の数学者岡潔の微笑ましいエピソードには古き良き時代への郷愁を感じた。文科省の政策などを通じて大学が一種の企業の要請に合った職業訓練校にシフトしていくのではないかとの危機感も。孤独でいることが罪であるかのような現代の風潮に対し、誰からの干渉を受けない場所でのみ確認できる自分があり、孤独であることで自立する、という文言→2025/03/30
tamami
70
行きつけの本屋さんの新書棚に平積みしてあり、「少しずつでも自分の能力を超える課題に挑戦し続けていると、いつしか人は大きく成長しているはずです。」と帯に記されている。新刊かと思いその気になって一気読み。家で読了後奥書を見ると、2018年刊とある。胸騒ぎがして書棚の新潮新書の置き場を見ると、5年前に買った初刷りが並んでいた。「やっちまった」と舌打ち。本書の中で、著者もリスペクトする木村敏先生の『時間と自己』が3冊もあったという告白が記されていたことを思い出し、ちょっぴり安心する。という、些か間の抜けた告白から2023/06/11
mukimi
56
知の体力とは、情報活用力である。身につけるには、多様性を知る、つまり、その知識が常識になるまでに重ねられた先人の議論と反証を知ることが必要である。そして、他と違う自己に気付くこと(集団の中での居心地の悪さ、孤独を肯定する)も重要だ。この記述には、私はこれでいいのだ、と変わり者の自分を肯定し自分の生き方を追及していく覚悟ができた。また、筆者はさすが歌人である。愛についての考察「一緒にいて自分の可能性がどんどん開けていく気がする人こそが最愛の伴侶」は、失恋の痛手から立ち直れない私の背中をそっと押してくれた。2019/01/30
future4227
54
2019年の高校入試で論説文の出題率No.1だった本。学ぶということは何か?をじっくりと考えさせられる本。特に大学教育のあり方については共感する。教授の名前を知らずに入学してくる高校生、学術研究よりも職業訓練をしろと言った安倍総理、それでいいのかと。「今日は子どもの自立の日だから親は出ていって下さい」と保護者に喧嘩を売った東大栄誉教授。さすがです。自分も娘の大学の入学式は行かないようにします。また、入学式に「大学は諸君に何も教えません」と言い放った京大総長。素敵です。そう、大学は自ら学びに行く所なのだ。2020/03/14
渡辺(読書/散歩)
47
名著。大学1年生や新社会人に特にオススメです。答えのない問題を問い続ける姿勢が「知の体力」なら、読書や勉強、他者との交流などで蓄えられる知識や価値観はさしずめ「知の筋力」でしょうか。変化し成長し続けるためには、学ぶこと、考えることを止めてはいけないと思いました。孤独になる時間を持て、他者の評価に振り回されるな、成長には挫折が必要、いったん疑えなど、印象に残る項目多数。https://book-attic.com/chi2024/05/17
-
- 電子書籍
- 国宝級令息の求婚【単話版】23 PAS…
-
- 電子書籍
- パワハラ聖女の幼馴染みと絶縁したら、何…
-
- 電子書籍
- ふりだしから始まる覚醒者【タテヨミ】第…
-
- 電子書籍
- フィレンツェは永遠に【分冊】 1巻 ハ…




