角川学芸出版単行本<br> 感じて、ゆるす仏教

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角川学芸出版単行本
感じて、ゆるす仏教

  • ISBN:9784044003258

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内容説明

自らを追い詰める修行時代を経て、「感じてゆるす」境地にたどり着いた禅僧、藤田一照氏。その意味とは? 他者と関わることで見えたこととは? 気鋭の著述家が聞き役となり、その本質と魅力を探っていく。

【章立て】
第一章 「感じて、ゆるす」の誕生論
第二章 「感じて、ゆるす」の方法論
第三章 「感じて、ゆるす」の人生論

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

chantal(シャンタール)

86
「感じて、ゆるす仏教」とは「悟りを開くためには何が何でもこうしなきゃ!」と頑張るのではなく、もっと自分をオープンにして、感情を豊かに深くして行きましょうと言う事らしい。著者がそう思い至ったのは結婚して家庭を持った事が理由の一つであるそうだが、確かに一人我が道を行く方が「他者と緊密な関係を築く」よりも簡単だ。ブッダも最終的には弟子に教える道を選択したしね。小難しい理屈はよくわからないけれど、引用された数学者、岡潔の言葉「人の悲しみがわかるのは理性、人が悲しんでいるから自分も悲しいのは宗教」が印象的。2020/02/17

ねこさん

23
いまここを味わうというワードでやると、どうしてもorder&controlになって力みや窮屈さが介入する。本書で語られるsense&allowは、味わう作用に身心を委ねるモードへの移行、と言った方が実感に近いかもしれない。内容的には不生禅だが盤珪と白隠の対比など、語り得ることをロジカルに明示することで、語り得ないことを個々人が読み込める。実際、率直であることの気楽さの獲得にはプロセスが相応に必要だし、とはいえ経験は提示できない。結果として修証一等をパラフレーズするしかない。多くの人に有用な書であると思う。2020/03/20

yutaro13

22
2018年刊行だけど今のところ魚川氏の直近の著書。曹洞宗の藤田氏が提唱する「感じて、ゆるす仏教」を深掘りしていく対談本。仏道修行のプロセスに意識主導は不要なのか、などふたりの主張の違いが面白い。魚川氏の著書をきっかけに仏教思想を学び始めた私からすると、「釈迦は本当はこう言ったはずだ」という「はずだ論」への批判やそこからの脱却を説くのは、仏教を客観的に捉える上でも至極真っ当で有益なことに思えるのだけど、藤田氏がどうしてもそこから抜け切れないのはやはり宗教家としての立場の違いからなのかな、と思ったり。2020/05/20

テツ

15
悟りを意識し思考しストイックに精神をすり減らし求道を続けた果てに見えてくるのは、きっと世界の全てを感じながらそれを穏やかに受動的に受け入れられる自分自身の姿。ただ最初からそうなることは人間には至難の業であって、通過儀礼として魂や精神をギリギリまで追い詰めるような時期が必要なんだろうなと思った。ぼくたちのような平々凡々たる一般人も同じだよな。世界を穏やかに受け入れるためには世界から受ける痛みと対峙してしっかりと苦しむという経験がなければならないんだろう。感情豊かに穏やかに世界の全てを会得する状態に至りたい。2020/09/12

takeapple

15
研究者と実践者の対談かなあと思い手に取ったが、魚川さんは研究者でありながらビルマへテーラワーダ仏教の修行に行ったし、一照さんは東大大学院で心理学を学び研究者としての基礎訓練を受けているし、現状の仏教の在り方に満足出来ず、改革しながら仏教的な生き方を広めて行きたいという2人の対談ということだったのかなあと私には読めた。一照さんの遍歴についても語られていて、東洋医学や身体論に興味があったんだということがわかった。武道とかも含めて、禅って身体で釈迦の教えを体感するってことなのかなと思えた。2018/09/12

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