- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
長く続いた徳川幕府の時代には様々な文化が爛熟したが、とくに教育では全国300藩といわれる各藩が、家風や地域風土に根差した独自の子弟教育を行なってきた。その中心が藩校であり、今でも往時の教えを大切に守り伝える土地も多い。幕末に武士道の精華を見せた会津藩の日新館、水戸学が勃興し尊皇攘夷の中心となる水戸藩の弘道館、吉田松陰ら維新回天の重要人物が学んだ長州藩の明倫館……。本書は、各藩の俊英が集った江戸の昌平坂学問所を皮切りに、直木賞受賞の歴史作家が、自らの足で13カ所の藩校文化を訪ね歩く。巻末には、山内昌之東大名誉教授との特別対談「藩校に学ぶ日本人の『道』」を収録。現代教育を思うとき、「学問とは人としての道を知るためのもの」とする対談での著者の言葉が重い。藩校を訪ねる旅は、歩きながら日本人の「美しさ」の本質に出会う旅でもある。東北から九州まで、深くて楽しい歴史紀行。『捜魂記』を改題。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hr
2
Kindle Unlimitedで津藩の箇所と巻末対談を読了。対談の山内昌之の薩摩推しがバランスを欠くレベル。「戊戌の変法」やタイのチャクリ朝の改革と薩摩の動きを並べて扱うなど暴論すぎる。「他国は中央の改革だが、日本は地方の改革」と言いたいようだが、だいたい時代が数十年違う。中央政府である幕府の、薩摩と同時期の反射炉造営を無視して印象を誘導しようとする悪意だ。戊辰戦争をアメリカ南北戦争と比較したりもしているが、比較で良し悪しを論じる意味などない。山内が歴史学者としてキャリアを築いてきたことが信じられない。2025/02/01
チョビ
1
お金がない所以に昔の人もゆとり教育な時代もあったわけで。しかしたまに出てくる熱心な教育長(藩主ともいう)によって、礼節を教え、基礎から応用まで、しかも能力別でクラス分けしたり、40歳くらいまで学んでてもokだったり、自主的に学んでもokなど、もう様々。ところによっては武士階級以外の子供にも教えているわけで、藩校というのはエリート学校という印象が一気に薄れたし、藩校が成立しているところほど、武士以外の子供も礼節を知っているわけで。きちんと教えれば小学生でも礼節は学べます!ということを改めて知った一冊。2015/01/27