内容説明
わたくしたちが十二世紀において東北の僻陬の地に平泉政権をもったのは、歴史的事実にしても不思議な気がしてならない。政権の新都平泉の都は忽然と北上川の畔に出現した、絢爛たる、目もくらむばかりの寺院群を中心とした市であった。それは、京都ともちがう、考えられもしない異風の“蝦夷の人間と精神”の匂いのするむしろ大陸的な都市だった。どうして、このような都市が出現したのであろうか。(「あとがき」より) 暗躍する朝廷、源氏との確執、そして悲劇の末路……。奥州に燦然たる平泉文化を築いた父祖四代の本格的歴史小説。
感想・レビュー
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カズザク
2
日本史上、奥州が最も強く、光輝いていた奥州藤原氏の時代。栄光から滅亡まで、期間があまりにも短過ぎる。儚く・哀れと同時に、不思議でもある。三代目・秀衡がもう少し長生きだったら、四代目・泰衡にもう少し勇気と決断力があったら…北の都・平泉の栄華が形として残り、今の世に伝わっていたかも?残念過ぎる。北の王者・秀衡に愛された御曹子・義経。秀衡を本当の父親のように慕った義経。この2人の関係が、実の息子・泰衡の義経への妬み・恨みを産み出す。魔王・頼朝の君臨と秀衡の死が、同じ時代に訪れた事が奥州藤原氏を滅亡へと導いた?2023/08/26