内容説明
男を初めて部屋に上げるときには、かなりの勇気がいる。もしこの男に、見えてしまったら…。30~40代女性の情念と現実、その中で少しでも光を掴みたいともがく姿を描く、怖くてエロくて美しい怪談短編集
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
124
『しっ。うしろのお客さんに聞こえないように。大丈夫、いくら見ても構わないし、何もしやしませんよ。でも、あれは生きている人ではないの』。そんな言葉の先にこの世のものではないものたちが読者の前に姿をあらわすこの作品。そこには、8つの”ホラー”な物語が描かれていました。描写自体はそこまで怖くないこの作品。怖いのは死者が化けて現れるいわゆる”ホラー”な物語ではなく、あくまで生きた人間であるという生きた人間の怖さを描く物語であることに気づくこの作品。生きた人間の怖さを絶妙に描く岡部えつさんの上手さを見る作品でした。2025/06/13
あも
91
岡部はつ……ダジャレでスタートしたけど、言いたい事はただ一言。こっわ…。秋めいて涼しくなってきた今日この頃、久々にガチの恐怖を感じました。こええ…。一番怖いのは人間、とか、不条理なものほど怖いとか言うやん。言ったことあるでしょ?認識改めた方がいいって。絶対、幽霊怖いって…。出自もハッキリしてて自分を恨んで呪って真っ直ぐ向ってくる幽霊マジ半端ないって…。あ、取り乱したけど、ドストレートな幽霊話のみならず、不条理系から切ない系まで幅広く。様々な感情を心にするりと垂らしてくれる。共通項は"女の情念"。こええ…。2018/09/12
ピロ麻呂
39
「嘘を愛する女」がおもしろかったので本作を書店で見つけて即買い。恐ろしいと言うより気味が悪い…って感じ。やはり恋愛がらみの怨念ってこわいですね~2018/06/10
らすかる
30
またやってしまった? 「枯骨の恋」を文庫化した際に改題したのね。でも何度読んでも面白かったのでじっくり再読しました。秋の夜長にぴったりな大人の女によるジメッとしたホラー短編集。8編それぞれが味わい深く、ただ怖いだけでないところがいい。哀愁漂ってるとゆうか。「縁切り厠」、私には1晩厠に籠る根性も勇気もないけど、ちょっといい(笑)2018/10/28
JKD
17
独特の世界観だけど、悪くない。「縁切り厠」とか、「棘の道」はシュールな怪談話だけど、アブレバチの衝撃はただ事じゃなかった。平凡で無自覚な悪人・・なるほど、いいテーマです。2018/06/03




