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内容説明
幕末の文久元年(1861)七月、25歳の若きロシア人司祭が箱館に到着した。その名はニコライ。それから約50年にわたって、彼は日本人にロシアのキリスト教を伝えるべく奮闘。 ロシアに帰ったのは二回だけ。それも布教の資金を集めるための一時帰国だった。「(駿河台にある)ニコライ堂のニコライ」として知られ、多くの人びとの尊敬を集めた彼が遺した膨大な日記から読み解く「もう一つの明治」。
目次
はじめに
第一部 布教者ニコライ
第一章 激動の日本へ
第二章 活動資金に悩みつつ
第三章 意志の人
第二部 観察者ニコライ
第四章 文学者へのまなざし
第五章 あまりにもロシア的な
第六章 日本、にしひがし──各地布教の旅日記
第三部 日露戦争とその後
第七章 ひとり東京に残って
第八章 晩年の苦悩
第九章 ニコライの信仰
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
29
キリスト教が禁教だったころ来日して秘密裡に伝道を始め、日露戦争ではスパイ扱いされつつも日本にとどまった宣教師の生涯を、日記の肉声を通して再現する。財政難や仲間の離反など苦難にあっても純粋な信仰を保ち続けた彼が、同時代のロシア文学に厳しい目を向けていたのは意外。スラブ主義を鼓吹するドストエフスキーや無教会主義のトルストイへの批判、彼らによるプーシキンの神格化の動きへの違和感。西欧近代にあこがれる文学者たちと違って、ロシア正教のなかに身を置くことで近代の呪縛から自由たりえたニコライだから可能な視点かもしれない2022/06/09
Toska
14
ニコライの類まれなる個性を振り返ると共に、彼を通して同時代の日本とロシアを俯瞰する実り多い一冊。著者は元々ドストエフスキーの研究者なので、ロシア文学絡みの話になると熱くなりがちなのはご愛嬌。新島襄や後藤新平、福沢諭吉、ウラジーミル・ソロヴィヨフなど所縁の有名人もたくさん出てくるが、やはり彼と共に歩んだ信徒たちとの逸話が心を打つ。ある信徒がチフスで亡くなった時、ニコライは感染を防ぐため他の者を近づけず、自分の勤めだからと一人で納棺と祈祷を行っている。これは誰でも惚れるでしょう。2024/05/21
ジュンジュン
12
幕末に25歳で来日、明治の終わりに亡くなるまで日本での布教に尽くしたロシア正教徒ニコライ。彼は膨大な日記を遺した。その記録を基に彼の生涯と彼が見た日本を描写する。旅行記の抜粋が面白い。「ここではケレドモとは言わず、ケンドと言わなければならない」(徳島)。「日本のソロモンである大岡越前守の物語を読んだ」(長崎)。「この金毘羅と云う所は、名だたる遊蕩の場であり、多くの参拝者は帰る時には身を持ち崩してしまう。だから、カワイイムスコヲコンピラニヤルナという諺まである」(香川)。ぷっ、日記読みたくなった(笑)。2022/12/16
読書実践家
7
日本に来たことがあるニコライ2世。日露戦争で見る日本人とロシア人との違いに興味がわいた。ニコライ2世を通して見る日本の姿はリアルで、新鮮だった。2016/04/17
sasha
2
25歳で来日し没するまでロシアに帰国したのは僅か2回。それだけ日本での伝道に生涯を賭けたのだろうな。日記からの引用が多く、ニコライの心のうちが見えるのがいい。そのうち日記も読んでみなきゃ。2012/05/19
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