内容説明
東京都下で起きた女児殺害事件。超記憶症候群のプロファイラー・羽吹允は、遺棄の状況から8年前の和光市女児連続殺害事件を模倣していると気づく。和光事件の犯人・入谷謙一はふた月前に獄中で病死していた。相棒の神尾文孝とともに、羽吹が入谷の周辺を聞き込むうちに、第2の事件が。第1の事件との微妙な差異に違和感を覚えた羽吹は、超記憶を駆使して事件の真相に迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
🐾Yoko Omoto🐾
113
シリーズ2作目は女児連れ去り殺害事件。8年前の事件の模倣が疑われる中で、些細な違和感を無視できない羽吹が、自身の特殊能力を駆使し犯人像に迫っていく。あらかたの真相は予想と近かったものの、羽吹の持つ超記憶症候群、バディを組む神尾との距離感の変化を事件と密接に絡め、単純な展開に見せない巧さがある。シリーズ最大の謎であろう、少年期に誘拐された羽吹の空白の1年間。その真相については、小出しながらもインパクトを伴って描かれており、今後のストーリーで羽吹の苦悩がどう変化していくのかが大きな読みどころ。次も楽しみ。2020/10/11
みやこ
80
鳥肌が立つような得体のしれなさと粘ついた悪意が、心の底から気味が悪い。前作よりも薄気味悪さがグレードアップしているのは、ヤツの影がより濃くより近くなったせい。羽吹が再び悪意に絡め取られることがないことを願いたいけど、そうはいかないんだろうなぁ。被害者や周囲がより深く傷ついたり後悔したりする環境(社会?)は、どうにかしていかないといけない問題なんだと思う。頑なだった羽吹が神尾の意見に耳を傾け始めたのは良い兆候。この先に待ち受けるであろう苦難に立ち向かうためにも、信頼できるバディの存在は絶対に必要だから。→2018/06/17
aquamarine
76
シリーズ二冊目。今回彼らが扱うことになったのは幼児連れ去り殺害事件。過去の事件を引きずる羽吹にとっては辛い展開ではありますが、彼自身のことや神尾の距離感だけではなく、事件を追う特殊能力を生かした警察ものとしても堪能しました。こんな事件ですから解決しても誰も救われないのですが、よくできていると思います。しかも、キャラもののシリーズですから、ラストになかなかのものが控えていました。今後どうなっていくのかますます気になります。シリーズ前提のタイガなのでまだまだ先は長そうですが追いかけていこうと思います。2019/06/12
yu
73
Kindleにて読了。シリーズ2作目。ちょっとずつ心を開きかけてきた羽吹さん。神尾さんは、犬みたい。よい意味で。子供が犠牲になる事件は心の痛さが半端ない。2019/11/03
みやこ
67
読メを始めてから良い意味で変わったことのひとつは、シリーズ物の続刊が出たら新刊を読む前に極力既刊を読み返すようになったこと。そうすると新刊の理解がより深まるし、より楽しめる、ということを今更ながらに実感。今回も三作目を読む前に一作目と二作目を再読。事件の概要、経緯、犯人、そして羽吹の過去は概ね覚えていても、今後の物語の主軸になるであろう、現在の羽吹に纏わる悪意に関しては黒幕的な人が誰かチラチラいたよね、くらいにしか覚えていなくて、明確に示されていた「彼」の痕跡にゾクリ。これで復習は完璧。次巻が楽しみ。→2019/05/04