内容説明
「週刊朝日」のベテラン文芸編集者として、池波正太郎や松本清張をはじめ数多くの作家たちと接してきた著者が見た編集者の姿。自身の体験と、編集者からみた作家・書店・書籍を論じる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メガネ
1
編集者が好む食と酒について書かれているわけではありません。本書のテーマは編集者と作家の距離をどう測るか、にあります。ここに出てくる編集者というのは池波正太郎や野坂昭如、向田邦子などの作家を担当していた、いわゆる文壇といわれる世界で活躍する編集者。登場する作家は癖の強い人ばかりですが、それでも編集者としてちゃんとした理念と思想を持ち、作家と対等の立場で一冊の本を仕上げるプロフェッショナルな部分を感じました。編集者は野球で言えばキャッチャーというよりもグラウンド整備員、という言葉が印象的でした。2014/06/03
りん
1
「暗い海を後悔する船乗りにもたとえられる物書きたちにとって、編集者はそれぞれの航海をかすかに照らす探照燈のような存在である」。これはノンフィクション作家の佐野眞一氏の言葉だが、はじめは何を大げさなと思っていた。だが本書を読み、かつての編集者と作家の関係性とは今よりずっと密なものだったのだと知りました。2011/07/10
nizimasu
1
正直、作家担当の編集者とは何をしているのだろうと思う。この本では、本作りを巡る情熱とその裏にある苦労のエピソードを惜しげもなく紹介している。実際、原稿と作家の機嫌取りに終始する人も居るという。でもこの本には編集者としての矜持が詰まっていて読んでいて心が熱くなる2011/07/02