物語がつむぐ心理臨床 こころの花に水をやる仕事

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物語がつむぐ心理臨床 こころの花に水をやる仕事

  • 著者名:三宅朝子【著】
  • 価格 ¥2,200(本体¥2,000)
  • 遠見書房(2018/05発売)
  • ポイント 20pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784904536490

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内容説明

「不妊治療を機に摂食障害になった母親」「ミヤケを訪ねてたった一人でクリニックにきた少年」「解離になるしかなかった中学生」「激しいボーダーラインの女性」「抑うつになって初めて向き合うことになった夫婦」「癌による死を前にセラピーを求めた家族」─クリニックにやってきた、10のケースをめぐる物語。美しい言葉と繊細な表現を通して、心理臨床のリアルが語られる。

……彼は私をみると、急いでポケットに手をつっこんで何かを探した。何やら紙を取り出して広げて私に見せた。それは皺くちゃになった一万円札だった。
「ミヤケを一つ頼むわ! 金、じいちゃんにもらったお年玉だけど。このくらいあれば足りるか?」
彼の額に汗がにじんでいた。
私は驚いて、「ミヤケを一つ?」と聞きなおした。
彼は、話がすぐに通じない事に少しいらついた調子で続けた。
「オレの友だちがミヤケをやってるって。そいつすごく良くなったんだ。おれもいろいろ困っていることがたくさんあるからさ。ミヤケをやりたいんだ」