内容説明
プーさん、ピーター・ラビット、ドリトル先生……子どもの心を豊かにする多くの本を世に出した著者が、その歩みを綴った随筆集。著者を訪ねる旅、海外の児童図書館見聞記も。単行本を再編集、新規二篇収録
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
55
英米翻訳家のエッセイらしいと思います。特にプーさんとの出会いは、私もこんな風に出会いたいと思わされるものでした。随筆というより雑記という雰囲気です。2020/12/27
らん
26
石井さんが翻訳された本、出会った人や旅で経験された事の雑記。プーとの出会いやプー語で手紙を書いていた話が微笑ましく、夢中で読んで訳されたプーさんとは対照的にピーターラビットの絵本の翻訳は満足されていないようでした。9年かけて納得できた「世界中の子供の興味は同じ」という事。「子供は結局いいものはわかるんです」という児童図書館員の信頼感も印象的。「いつまでも手さぐりであったろうことの先へ出るきっかけを与えてもらった」帰国して考え方生き方に違いをもたらしてくれるような外国旅行を出来るだけ経験したいと思いました。2023/04/22
ゆう
22
「その時、私の上に、あとにも先にも、味わったことのない、ふしぎなことがおこった。」クリスマスのプーとの出会い。「怖い本」という言葉が飛び出す、「ピーター・ラビット」。ここには石井桃子さんの2つの魅力がある。甘やかな魔法と、たくましく聡明な力強さと。それは繰り返し思い返される「ビリー」との日々と、アメリカでの児童文学者たちとの交流に重ね合わせることが出来るかもしれない。現実的な対応能力の高い、仕事のできる方だったのだと思う。でもそれだけではなかった。魔法に、かけられていたのだ。たぶん、ずっと。2019/09/30
TomohikoYoshida
7
石井桃子さんのプーとの出会い、ピーターラビットの翻訳の苦戦と、アメリカやヨーロッパの滞在記である。 ふりかえってみれば、幼稚園の時のクマのプーさん、小学校2年生の時にのホビットの冒険、それから3年生か4年生のときの水滸伝、これらの子供向け文学作品が今の自分のルーツになっている。2018/04/29
椿 釦
7
私は人間に高潔な魂なんて宿らないと信じて生きているのだけれど、この本には高潔な魂を持ち合わせた女性が何人も、出てくる。勿論、石井桃子氏もそう。時代背景や年月の記述で随分と古い本を読んでいるのだと、はた、と気付く。なんの違和感も古臭さもなく言葉や考え方が入ってくるのは、時代や時間に左右されるようなものを石井桃子が見ていないからだろう。子供の心に届くものを見つめていくという生き方について考えさせられた。嫌味を挟む余地もなくなんて高潔なんだろう、と。勿論、高潔だけで出来ていないのは承知しているけれど。2018/06/12