アナル・アナリシス――お尻の穴から読む

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アナル・アナリシス――お尻の穴から読む

  • ISBN:9784778316204

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内容説明

お尻の穴は男も女も持っている。ペニスにもヴァギナにもとらわれない究極のジェンダーフリー、アヌスから考える新しい文化論。

ペニスを挿入する男らしい支配者を頂点に戴く社会は、女であることを嫌うミソジニーの社会であり、男が女の役割をする男同士の同性愛を嫌うホモフォビアの社会でもある。本書は、男性同士のアナルセックスを描いた文学作品や映画や絵画などを取りあげ、これまでとはまったく違う解釈をしてみせることで、この男根中心主義、ホモフォビアに支配された社会規範に真っ向から挑み、パラダイム・シフトを仕掛ける。その立役者に抜擢されたのが、男も女も平等に持っているお尻の穴である。

イギリスの「変なタイトル賞」受賞作であり、著者はブランドン大学でクィア論やジェンダー論を研究する助教授であり、「文学批評と現代の生活においてアヌスは無実の罪を着せられている」と真剣に憂いている。英語には「arsehole」「ass wipe」(どちらもマヌケなど、)「pain in the arse」(問題児、悩みの種)などの表現があり、このような表現は一般にホモセクシャル、不能、ひ弱さと結びつけられている。映画化もされた『ブロークバック・マウンテン』などのポピュラーな小説を題材に、文化の中のアヌスの扱われ方を論じることでファロセントリズム(男根主義)から脱却し、ジェンダー、特に男性性を新たな視点から検討する。

原題:Reading from Behind: A Cultural Analysis of the Anus

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

とみぃ

5
本を読むこと、そこには肌と肌とを触れ合わせる愛撫のような、なにか官能的な快楽を思わせるところがある。作品の肌理にゆっくりと指を沿わせ、わずかなうごめきをも感じとる、エロチックな読書。しかし、作品もだまってはいない。読む人の、心のひだをまさぐり、喜び、怒り、哀しみ、楽しみの琴線に、時に軽く、時に強くタッチする。そうした読書のエロチックな悦びが、なぜか批評とかになると、とても辛辣で、裁断的になってしまうのはなぜだろう。2019/02/02

ヒナコ

3
物語をペニスから読むのではなくアナルから読み解こうとする意欲的な批評集。特に第四章の『ブロークバックマウンテン』と、第五章のケイト・モンクマンの絵画批評が面白かった。 続2019/09/09

ざじ

2
クィア・リーディングと通底してる本。帯の紹介文から男女半々くらいの言及を予想してたけど、題材とされている小説や論文、映画も含め男性の性的アイデンティティに関する考察がほとんどだった。セジウィックくらいは横に置いてから読み始めた方が良かったかもしれない。2018/06/10

ひるお

1
ペニスとヴァギナという異性愛規範的な観点からではなく、誰もが等しく持っているアヌスから読む「アナル読み」を提唱し、小説や映画、詩、絵画を読み解いた一冊。理路整然としているとは言い難く、全体的に読みづらいという印象。海外のBL小説についての論考も、日本のBL研究史を踏まえて読むと、特に目新しいものではないように思える。ただ、攻めがアヌスの快楽や複雑さからは断絶しているという指摘は興味深い。嬉しい驚きはブロマンスへの言及があった点。フィードラーによる「罪のない同性愛」の概念についてはもう少し学びたいところ。2019/10/28

みつ。

0
‪アナル・アナリシス/ジョナサン・A・アラン/2018 #読了‬ ‪お尻の穴は男も女もみんな平等に持っている。尻の穴はどの様な概念を人に与えるのだろうか?作品のなかでどの様な役割を与えられているのか?尻の穴に注目して論じられる本書は読者に新たな視点を与えてくれる‬ ‪BLも論じられるよ!‬ ‪#みつメディア‬2018/07/08

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