内容説明
中国の古代から人々が執心してやまない「玉」の産地として聞こえた、誰も知らない崑崙山を目指して黄河の源流へと遡っていく一行に襲いかかる苦難の行方を描いた「崑崙の玉」。著者の独擅場とも言うべき西域・中国もののみならず、戦乱の世において非運に倒れた武将たちの運命を見据えた戦国もの等も収録。透徹した視線と自在な筆致が冴える傑作短篇集。
感想・レビュー
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hirayama46
4
中国・西域や日本の戦国時代の短編を中心に揃えた歴史小説集。変化球な中央アジアものの「古代ペンジケント」なども収録。井上靖の歴史小説は、登場人物の気持ちに寄り添いすぎない、適度な距離感の保ち方に好感が持てます。すべてを理解するような姿勢を見せず、歴史上の一点を冷静に叙述する感覚。お気に入りは大望を抱いた人の顛末を描く「崑崙の玉」、本能寺の変の半年前における、当時の重要人物たちの情景をスケッチ風に軽やかに映す「天正十年元旦」あたり。2019/07/27
やまとまと
1
淡々と描かれる歴史上小説なのに登場人物からは熱というか情動を感じる。2022/07/31
湯豆腐
1
井上靖の小説において主役は常に歴史とか運命とかの巨視的なもので登場人物はあくまでも観察者に過ぎないのでいつも打ち切りマンガじみた終わり方をする。文芸文庫の解説、通奏低音が流れていがち。透徹した眼をしがち。2018/08/04
悸村成一
0
11編。「崑崙の玉」「永泰公主の頸飾り」「古代ペンジケント」「利休の死」ほか。図書館本。 982019/07/25
you
0
著者の西域ものは旅情抜群。この時代の旅をしたくなる。2018/09/23