岩波新書<br> 地元経済を創りなおす - 分析・診断・対策

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岩波新書
地元経済を創りなおす - 分析・診断・対策

  • 著者名:枝廣淳子
  • 価格 ¥858(本体¥780)
  • 岩波書店(2018/05発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004317043

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内容説明

人口減少,駅前のシャッター通り,あきらめ,…….地元経済の悪循環を断ち切る方策はないのか.現状を可視化し,お金や雇用を外部に依存する割合を減らすための考え方やツール,好循環に転換した事例の数々を示す.次なる金融危機やエネルギー危機,気候変動危機に対する「しなやかに立ち直る力」(レジリエンス)をいま地元から.

目次

目  次
   まえがき

 序章 なぜいま、地域経済か
   しなやかに強い地域の鍵は、しっかりした「地域経済」/人口減少に歯止めがかかった「好循環の地域づくり」
 第1章 地域へ戻りつつある経済
   もともと経済とは地域経済だった/経済が地域へ戻っていく理由/日本の地方に特有の問題状況/地域経済を取り戻すための分析モデルとツールがある!
 第2章 あなたの地域は「漏れバケツ」?
    「漏れバケツ」モデルとは/危うい依存から、自立に基づく相互依存へ/バケツの中はどうなっているのか?/漏れているのか、循環しているのか、それが問題
 第3章 まずは地域全体の漏れの度合いを知る
   産業連関表を用いて「波及効果」を調べる/産業連関表から「域際収支」を調べる/新登場の「地域経済分析システム」を活用する/地域経済循環マップ/地域経済循環率
 第4章 地域の「どこで、どれくらい漏れているか」の詳細を知る
   既存の統計データを活用する/地域内乗数効果を計算する方法/買い物調査を行う
 第5章 身近な「漏れ穴」をふさぐ
    「地産地消」から「地消地産」へ/学校給食を変えよう/ 「外に持ち出して加工して持ち込んでいるもの」に着目する/わかりやすい離島の「漏れ」/すでに存在している生産者と消費者をつなぐ/海外では
 第6章 「最大の漏れ穴」をふさぐ
   地域のエネルギー自給の「みなし」と「実質」/ 「植民地型」からの脱却/小水力発電から生まれる大きな価値/地域の再エネで「子どもたちが帰ってこられる」集落づくり/条例で進める地域の再エネ
 第7章 「漏れ穴」をふさぐ新しい資本主義
   ローカル・インベストメントのやり方/地元の地方銀行や信用組合・信用金庫に預金する/市民バンク、クラウド・ファンディング、ソーシャル・レンディングで地元に投資する/ 「地元の投資が必要な事業」と「地元に投資したい人」を結びつける/スロー・マネー運動/住民出資による合同会社で合併から再生/各地に広がる住民出資の取り組み/今後の重要性
 第8章 地域経済を考え直す──水俣市と下川町はいま
   水俣──企業城下町の「もやい直し」/ 「環境首都」の経済再生のために/お金の流れを「見える化」する/可視化された「漏れ」から始まる創造事業/下川町──「50歳から住みたい地方ランキング全国1位」になるまで/町の経済規模と域際収支がわかった!/地元資源を活用して、エネルギー自給の町へ!/利害の対立する事業者の巻き込み方/永続するエネルギーと地域経済の土台を作る/さらに足腰の強い地域経済に
 第9章 地域経済を取り戻す──トットネスで始まる「新しい物語」
   トットネスの町とトランジション・タウン運動/食の「リ・ローカリゼーション」プロジェクト/エネルギーも住宅も通貨も、「リ・ローカリゼーション」/次々とプロジェクトや取り組みを生み出す三種の神器/ 「自分たちの地域はこうありたい」というビジョンから始まる/コーヒー戦争に勝つ!/ 「新しい物語」を生み出す
   おわりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

110
もう少しこの著者の言うように政府が地域振興策を出してもらえれば、という気がします。今の政府は自分の政権にとって効果のないあるいは人気のない政策は行がないということであまり熱心ではありません。最近は首都圏などでも比較的遠隔地房総半島や三浦半島の遠いところから人口が減って東京の近くに皆出てきています。このような状況を見るともう少しITを使用して地域の地元でも仕事ができるという政策や方法を考えていってほしいと思います。2018/06/09

佐島楓

64
地域経済のモデルを「漏れバケツ」に例え、いかに地域内のみで投資を循環させるかという説明が豊富な実例で示されている。とてもわかりやすくて得心がいった。「地産地消」ならぬ「地消地産」など、ちょっとした考え方の転換で地域の可能性はまだまだあると感じた。2018/03/05

もえたく

20
著者が関わった島根県の町などを題材に、人口減少に歯止めがかかった好循環の地域づくりを紹介した新書。いったん地域に入ったお金をどれだけ地域内で循環し滞留させるかが重要とする「漏れバケツ」理論。地元経済の現状を「見える化」し、「漏れ穴」をふさぐ取り組みを具体的に述べられていて、とてもも読みやすく分かりやすかったです。2018/04/04

おせきはん

14
地域に落ちたお金が域外に流出してしまう「漏れバケツ」状態を受けて、どの「漏れ穴」をどの程度ふさぐかは、地域経済のあり方を考える際に重要な視点だと思います。また、全ての「漏れ穴」をふさごうとするよりも、地域の歴史や資源を客観的に評価して、ふさぐ「漏れ穴」に優先順位をつけていくことも大切ではないかと思いました。英国のトットネスで地ビールを復活させた事例などは、歴史を紐といた取り組みで、無から有をつくり出したわけではなく、無理がないと感じました。2018/07/30

ぴーすけのパパ

13
地方創生とは、人口を増やすことではなく、「地域内でおカネが循環する仕組み」を作ることです。この本では、海士町、水俣市、北海道下川町、イギリスのトットネスの事例を紹介しています。それによると、①地域独自の産業連関表の作成等により地域外に流出しているおカネを把握する、②地域の需要を地域で賄う方法を考える、③域際収支に注目して地域外に販売するものを増やすというものです。大事なことは、地域に住む人たちの手によって行うことです。「地元経済」という言葉には、そうした主体的な取組みが必要という意味が込められています。 2019/04/01

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