ちくま新書<br> 仏教論争 ──「縁起」から本質を問う

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ちくま新書
仏教論争 ──「縁起」から本質を問う

  • 著者名:宮崎哲弥【著】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2018/05発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480071347

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内容説明

二千五百年もの歴史をもつ仏教。その始点にして中核と言い得るのが「縁起」なる法則だ。だが、「これが縁起だ」という定説は、仏教全体としてはいまだ存在していない。本書は、和辻哲郎、三枝充悳といった第一級の知識人、仏教学者が縁起をめぐり繰り広げた論争を俎上に載せ、なぜ彼らが虚構を実体視する罠に陥ったのかを検証。縁起とは何であり、仏教とは何であるかを、透徹した思考で浮かび上がらせた、類例なき書である。

目次

第一章 縁起という迷宮/第二章 皮相な論争理解──第一次縁起論争の解剖(上)/第三章 真の対立点へ──第一次縁起論争の解剖(下)/第四章 仏教学者たちの戦い──第二次縁起論争の深層/第五章 生命主義とポストモダン── 仏教の日本近代とその後/後記

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yutaro13

28
仏教の中核教義である縁起について繰り広げられた2度の論争について評説。1度目は1920-30年頃の木村泰賢、宇井伯寿、赤沼智善、和辻哲郎、2度目は1978-80年の三枝充悳、舟橋一哉、宮地廓慧によるもの。名だたる学者であっても縁起説を論じるとき、人間の根源たる実体・実覚から離れることがいかに困難かがわかる。新書なのにまったく一般向きの内容ではないが、和辻哲郎が近代仏教学から輪廻や業の考察を駆逐したという疑惑を晴らしたのは本書の功績だろう。むしろなぜ一般に和辻が輪廻否定論者とされているのかが謎である。2019/06/02

ホシ

22
う~ん、難解。「縁起」を巡る諸賢の論争を評説するとともに、彼らが陥った理論の陥穽を解説する本…かな。よく聞く「無常」は”概念”ではなく、例えるなら、人が蛇や虫を見て「気持ち悪い」と感じる本能的な”感覚”と同一という事。無常も無常であること(無常の無実体)を正確に理解しないならば結局は執着を生む、という事だと解しました。「縁起」や「無常」の言語としての厳密な定義は必要です。さもなければオウムを生みます。しかし、概念に、言葉に弄ばれてはならない。そんな事じゃないかな。上座部仏教にも興味が湧きました!2019/06/14

PAO

16
和辻哲郎から麻原彰晃まで仏教の「縁起」という曖昧な概念・空想を実体化しようという日本社会ならではの仏教の哲学化は多くの人を誤解させていることがわかりました。また「縁起」といってしまえば僧侶も檀家たちに脅しをかけ、お布施をいただくことが可能となりますね。これは仏教の日本独自の発展(退化欺瞞堕落?)であり、更に神秘的な「東洋哲学」として取り上げられてしまうことが「罠」となり、それがもたらす「危険」を感じます。私達はもっと仏教を突き放して考えるべきなのでしょう。巻末の『十二支縁起観」小考もとても参考になります。2018/06/03

マープル

9
まず、この本を読む前に、ニコ動のゲンロンチャンネルで著者の対談(相手はあずまんではなく朝日新聞記者)を見ていたので、事前情報として「大正生命主義」というのが重要らしいというのはわかっていた。ところがこのキーワード、ググってもいい情報に当たらないのだ。ウィキペディアにもないし。で、本書を読めば何がしかの説明があるだろうと思ったのだが、よくわからない。一応、ニーチェやショーペンハウアーの影響下に出てきた思潮らしいのだが。力への意志っぽい何かなんだろう。2018/07/23

モリータ

8
◆前著『ごまかさない仏教』でも言及されていた「縁起」の把握について、第一次(大正〜昭和初期、木村・赤沼・和辻・宇井)、第二次(三枝・宮地・舟橋)による論争を、筆者の立脚点や問題意識(龍樹の空の論を軸に言語の罠とその超越を見る)に基づいて整理している。◆輪廻に関する和辻の位置づけとか、三枝の悟り観≠縁起体得とか、他書を読む際に気をつけておきたいポイントが各所にあるのだが、学術書の(先行研究レビューの)スタイルではなく、筆者が理解を深めるためにまとめた、といった感じ。メモを取りながら再読するのもありかな。2018/09/08

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