内容説明
米国で一大センセーションを呼んだ衝撃の書
イエスは平和と愛を唱えた救世主ではなく、剣をとることも辞さない革命家だった――。〈ナザレのイエス〉の弟子たちが遺した文献、史料から、聖書には何が創作され、何が史実から落とされていったかを細密に分析。キリスト教がいかにして世界宗教へと飛躍したかを明らかにし、全米を震撼させた衝撃のベストセラー。解説・若松英輔
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yamatoshiuruhashi
40
イエス・キリストの時代の資料を丹念に読み解き、当時の「メシア」とはどういう存在だったのか、そしてナザレの貧農、大工の息子イエスの人間としての足跡を丁寧に検証することでその時代の雰囲気、考え方等とともに「人間イエス」を炙り出す。表題の「実在したのか」とはナザレのイエスの実在を疑うのではなく、世界宗教の祖としての「イエス・キリスト」がその伝えられるとおりに神性を帯びた化身だったのかと言う意味にとると本書が分かり易い。当時の社会秩序から言えばイエスはテロリスト、社会破壊者の一人であるというのは驚きつつも納得。2019/11/14
スプリント
10
イエス・キリストは実在したのか。この壮大なテーマを、キリスト誕生以前の世界観から十二使徒の軌跡を通して論じています。知らないことも多く、勉強になりました。2018/07/29
新父帰る
6
古本屋で拾った。人間イエスに迫る力作だと思う。全米でベストセラーになった様だ。著者はイラン生まれのイスラム教徒。表題が全てを物語っていると思う。イエスは存在したが、「イエス・キリスト」は本当に存在したのか?小生自身、以前からイエス・キリストは捏造だと感じていたので、この本で裏付けが取れたという印象だ。信仰者からすればトンでも本なのだろうけど、歴史的考察も大事だと思うので納得した。イエスの弟ヤコブの陣営と元ファリサイ派のパウロの陣営の対立が弁証法的観点から言えば、アウフヘーベンして基督教が世界宗教になった。2019/12/22
MatsumotoShuji
6
イエス本人の描写をせず(というか、描写できるほどの資料がないので)、イエスの生きた時代を詳細に描くことによってイエスの存在を浮き彫りにしようという試みはびっくりするくらい成功している。逆に使徒の時代では、それなりに資料が存在するにも関わらず「どうしてキリスト教が世界宗教になったか」についてはぼやける一方。つまりそれぞれの心にあるイエス像が一番迫力があるってこと。宗教的フィルターを外そうとすればするほど宗教的になってくる、この矛盾。2018/10/20
tsune105
6
エルサレムの過激な宗教革命家としてのキリストを歴史学的見地からの挑戦的な題名のノンフィクション。 キリスト教が世界三大宗教として確立するまでの聖書・歴史書の分析や、論理的な説明が、本当にいい。 イスラム教徒である歴史学者が、著述しているからなのか。 イエスだけでなく、ヤコブ、パウロなど、教徒でない日本人の私にとって、最高の入門書であった。2018/06/27