内容説明
欧州視点でとらえた新しい中東史。
気鋭の国際政治学者による渾身の意欲作!
中東・北アフリカでの民主化運動「アラブの春」から7年。シリアでは内戦による死者数が47万人を超え、難民は480万人以上に達している。IS(イスラム国)によるテロは、エジプト、チュニジア、リビア、マリなど北アフリカ全域に拡散し、欧州でも、パリ、ブリュッセル、ロンドン、バルセロナと多大な犠牲者が出ている。
なぜ中東は世界の「火薬庫」となってしまったのか。なぜ中東でこれほどまでに戦争が続くのか。中東発の混迷は欧州にどこまで負の連鎖をもたらすことになるのか。本書は、欧州と中東の関係をオスマン帝国崩壊以前の源流からたどり、主に英仏の思惑など欧州視点で捉えた新しい「中東200年史」である。
目次
はじめに
序 章 3つの帝国と中東近代史
第1章 フランス帝国――領土と復讐
第2章 大英帝国――名誉と石油
第3章 壊れゆく中東1――戦争の時代
第4章 壊れゆく中東2――革命の時代
第5章 壊れゆく欧州1――戦争と難民の時代
第6章 壊れゆく欧州2――テロと動乱の時代
終 章 中東は再び火薬庫となるのか
おわりに
参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TATA
32
読み切るのに随分長い時間がかかりました。なぜ欧州ではいまだにテロの脅威が消えないのか。英国の三枚舌外交はつとに有名だがフランスは何をしたのか。何世紀にも渡る怨念の正体がどこにあるのかを理解できたことは良かったのですが、自分の不勉強ぶりを恥じいりました。オスマントルコ崩壊以来秩序めいた統治のない中東に対し筆者なりの処方箋を提示する。結局は人間の叡智で解決せねばならぬと。「現代の不正義と過去に起因する不正義の間に引くべき線はどこにあるのか」、日本人としても考えるべきことですね。2018/12/03
香菜子(かなこ・Kanako)
18
戦火の欧州・中東関係史: 収奪と報復の200年。福富 満久先生の著書。収奪と報復が繰り返されてきた歴史。収奪され続けてきた人たちからすれば報復したいと思うのも無理もないこと。収奪し続けてきた人たちが上から目線で偉そうに説教する権利なんてどこにもない。収奪され続けてきた人たちからすれば当然の発想。でも報復の連鎖が永久に続くのはどちらにとっても不幸なこと。正解はどこにあるのかわかりません。2023/06/18
鯖
18
個人的に近現代の中東史は今のところ、この本が一番わかりやすい。けして読みやすくはないし骨太だけど、後5回くらい再読すれば、もうちょっと頭に入る気がするのでまた読む。しかしえげれすがクソなのは分かってたけど、おフランスも大概クソだな…。後書きで中東問題の解決法として国家という枠組みを越え、個人に何ができるかを残された人生で研究していきたいと述べられていらして、先生よろしくお願いします…という気持ちになる。仮想通貨が実現してるんだし、ID発行、戸籍付与等の行政サービスを行う仮想国家もいいよな…と思った。2021/09/19
まー
7
解りやすく丁寧に整理たとても読みやすい良書でした 欧州各国による植民地計画やその後の自国の利益を最優先する欧米による中東への関わりは傲慢で理不尽そのもの その結果が今の中東であり世界各地で頻発するテロなのですね2024/03/27
しんさん
7
英仏の非道ぶりに、あらためてげんなりする。負の遺産が大きすぎる。大戦時ドイツは、石炭から造られる人造石油で、エネルギー問題をかなりの程度克服していた。ナセルの顧問の元ナチスは、アメリカのスパイだった可能性。ミッテランとブスケ(ユダヤ人強制連行を実行)の関係。知らないことばかりだ。平和が訪れますように。2024/01/01
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