内容説明
スティーヴン・キングを読むならまずはこれ!
その町を覆ったのは霧――目の前さえ見通せぬ濃霧。その奥には何かおそるべきものが潜む……豪雨に襲われてスーパーマーケットに集まった被災者を襲う災厄とパニックを描き、映画化、TVドラマ化された伝説の中編「霧」他、「恐怖の帝王」の凄みを凝縮した問答無用の傑作集。キング入門者に最適、キング・ファン必携の一冊!
収録作品
「ほら、虎がいる」(松村光生訳)
「ジョウント」(峯村利哉訳)
「ノーナ」(田村源二訳)
「カインの末裔」(松村光生訳)
「霧」(矢野浩三郎訳)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
162
キングの初期のころの作品集でむかし読んだ覚えがありました。このような形で再刊されるといいですね。この作品の中にはショートショートが1編、短編が3編最後に本の題名となっている作品(中篇)がおさめられています。私はショートショートの「ほら、虎がいる」と「ミスト」が印象深い気がしました。ショートショートは彼の作品の中ではものすごく短いのですがうまいと感じました。「ミスト」は映画も見たのですが、集団ヒステリー現象を扇動する女性がうまかった気がします。2018/07/19
ehirano1
146
流石巨匠!という感じでした。表題作では、ラヴクラフトばりのバケモノのインパクトが注目されがちだとは思うのですが、追い詰められた人々の人間模様、特にどんどん追い詰められていく登場人物たちの焦りと絶望こそが真の恐怖だったように思いました。2025/11/14
海猫
140
5編収録の作品集。トーンはSFながら最終的にホラーとして着地する「ジョウント」。人間が孤独に永遠と向き合うなんて想像するだけで恐ろしい。「ノーナ」の陰鬱で静かな語り口も染み入る。それぞれ短編にも味があり面白い。が、中編というか短めの長編といってよい長さの「霧」に一番手応えを感じた。霧の中に見え隠れする怪物のようなもののおぞましさ、閉鎖されたスーパーマーケットの中でひたすら煮詰まっていく人間関係など、いかにもキングらしい厚みを感じる。映像的なイメージが鮮烈であったが、実際映画化されているので観賞してみよう。2023/08/01
のっち♬
125
『Skeleton Crew』より5篇。表題作は恐怖空間と不安・狂気が渾然一体となって迫る傑作。不和と希望の根源たる霧を社会性のベタなメタファーにとどめず、奇抜なモンスターやスリリングなドラマ・アクションを次々と繰り出す構想とディティール追求で知覚の扉を開いてみせる。語り手には芸術家ならぬ大衆作家として生きる著者の回顧が伺える。唖然とする程シュールな『虎がいる』、往還する語りが巧緻な『ジョウント』、暴力噴出の核心に異なる角度で迫る『ノーナ』『カインの末裔』と、技巧・エッセンスのバランス面でも最適な入門書。2023/03/08
ケンイチミズバ
122
呪うだけなら罪にならない。教師からもいじめられている彼の心のつぶやき。当時、担任教師は毎日教室で私服から汚れてもよい服に着替えをしていた。たまたま目があった私は睨まれ、いちいち見るなとどなられた。中年女性の下着姿など見たくて見るものか。見ないようにするには目を瞑るか下を向くしかない。子供心に屈辱を感じた。それが理由か、しばらくいじめが続いた。中学生になって思い出す度、私も呪った。トイレに虎がいる。彼の呪いが、願いが叶い、トイレから戻るのが遅いことを咎めにきたクラスメイトに続き意地の悪い教師も餌食になった。2018/05/21
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