内容説明
証券会社の経営者アルヴィン・ベンスンがニューヨークの自宅で射殺された。事件は、有力な容疑者がいるため、解決は容易かと思われた。しかし捜査に、尋常ならざる教養と才気をもち、並はずれて容姿端麗なファイロ・ヴァンスが加わったことで、事態は一変する。友人の地方検事が提示する物的・状況証拠に裏付けられた推理を粉砕するヴァンスが、心理学的推理を用いて突き止める。巨匠S・S・ヴァン・ダインのデビュー作にして、アメリカ本格ミステリの黄金時代の幕開けを告げた記念碑的傑作!/解説=戸川安宣
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
220
ベンスンの殺された部屋の見取り図が載っている。テーブルの上には読みかけの本。籐椅子には寛いだまま射殺された死体。暖炉の上のハンドバッグや、前夜目撃されたキャデラックよりも、ヴァンスは弾痕の位置、かつら、義歯などに注目する。彼は本職の捜査官とは異なる独自の見方や考え方に強い自信を持っている。この皮肉屋の探偵の美術や哲学に関するお喋りはかなり鬱陶しいが、その衒学趣味のお陰で我々読者はいつのまにか、殺人を題材にした知的遊戯の世界に迷い込み出られなくなる。こうした諸々は、やはり貴重なミステリ遺産というべきだろう。2022/04/17
ホームズ
43
新訳で再読。久々に読んだけど相変わらずヴァンスって回りくどいというか性格があまり良くないというか(笑)マーカムも良く我慢してるな~って感じがしてしまう(笑)一応ヴァン・ダインも捜査現場にいたりする設定のはずだけど存在感が全然ないのが少し不思議な感じ。『僧正殺人事件』が新訳で出たのは結構前だったけどここからは間を空けずに新訳を出してくれるといいな~(笑)ヴァンスのシリーズも再読したくなるな~。2013/03/15
Kiyoshi Utsugi
39
ヴァン・ダインの記念すべき第一作目の作品。 ヴァン・ダインは、この作品でファイロ・ヴァンスという名探偵を生み出します。 ヴァン・ダインは、法律事務所に務めており、ファイロ・ヴァンスとは、ハーバード大学の同級生でワトソン役という設定。 証券会社の経営者であるアルヴィン・ベンスンが、ニューヨークの自宅で何者かによって射殺されます。 この事件をファイロ・ヴァンスが心理学的推理によって解き明かすというものです。 しばらくは、このヴァン・ダインものにハマりそう…😅2021/08/16
yu
39
Kindleにて読了。2冊目のヴァン・ダイン。読み応えがありますね。2019/02/25
MATHILDA&LEON
34
名作を初読了。美術や哲学、建築物の蘊蓄を語り、大筋である殺人事件に関しては心理学的見解で推理する変わり者の探偵・ヴァンス。王道の探偵ものとは一線を画す。だって事件現場を見ただけで「犯人が分かった」と宣言する探偵なんてなかなかいないもの!登場人物が少なく、彼らがそれぞれ個性的であるのもポイント。続編も期待。2015/07/04