内容説明
権謀術数を駆使する老獪な政治家として畏怖された男、野中広務。だが、政敵を容赦なく叩き潰す冷酷さの反面、彼には弱者への限りなく優しいまなざしがあった。出自による不当な差別と闘いつづけ、頂点を目前に挫折した軌跡をたどる講談社ノンフィクション賞受賞作。佐藤優氏との対談を付す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
223
第26回(2004年)講談社ノンフィクション賞。 小泉純一郎の登場とともに、政界を去った 野中広務を描いた本である。 被差別部落出身の事実を隠すことなく、 権力の中枢まで登りつめた執念は凄まじい。 親譲りの資産も学歴もなく、権謀術数の 限りを尽くして、のし上がった男.. 昭和から平成における政治の闘いが、生々しく 今に蘇る、そんな本だった。2017/08/08
AICHAN
45
図書館本。中世、動物の屍体から革製品を作るなどの仕事に携わっていた人々は、ケガレ思想から差別されるようになり被差別民となった。彼らが住む村は被差別部落として江戸幕府に引き継がれた。政治家・野中広務はその被差別部落出身者である。野中はアメとムチの変幻自在な政治家として知られるが、人情に厚い人物としても知られ、特に差別されて困っている人たちの相談には親身になって乗った。この本は、そんな野中の人生を追うノンフィクションである。被差別部落から日本政界の中枢までのぼりつめた男の生涯を綿密な取材を通して描いている。2022/05/14
きょちょ
29
講談社ノンフィクション賞受賞作。 この話が真実だとすれば、野中は町議・町長・府議のころは、行動力がありかなり優秀な政治家だったと言える。 部落出身でありながら、部落民のみに肩入れすることなく、差別がこれ以上増えないように気を配る采配は素晴らしい。 自民党入りしてからは、彼の行動力は、派閥・権力争いに大いに発揮され、このあたりの話もかなり面白い。 ただ、彼の情報収集力のすごさの理由も究明して欲しかった。 麻生のようなボンボン政治家に差別発言されたら、野中じゃなくったって怒るよ。 ★★★★2019/06/24
もえたく
23
『農協のフィクサー』で老練な敵役の政治家として登場した野中広務に興味が湧き、手に取る。小泉政権時代に、権謀術数を駆使する悪代官なイメージでマスコミに取り上げられていた政治家でしたが、被差別部落出身だったことを公言し、弱者への限りなく優しい眼差しがあったに驚いた。田中角栄とのエピソード、自社政権の秘話、自公連立の舞台裏など政治史としても面白く読み応えありました。2004年講談社ノンフィクション賞受賞作。2023/05/26
かんがく
20
本人から恨み節をぶつけられるほどの徹底的な取材。タイトルにあるように、被差別部落出身者でありながら国政の中枢まで登り詰めた人物である。55年体制崩壊前後だからこそ活躍出来たタイプの政治家で、大きなビジョンよりも闘争と調整の政治手腕が目立つ。小沢も野中も、結局は田中角栄的なものの延長であって、小泉劇場には勝てなかったのかなと思う。2021/01/29
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