内容説明
『最後の事件』と呼ばれるホームズとモリアーティの対決から5日後、
現場を訪れた2人の男――ピンカートン探偵社調査員のチェイスとスコットランド・ヤードのジョーンズ警部。
2人は情報交換の末、モリアーティへの接触を試みていたアメリカ裏社会の首領デヴァルーを共に追うことに。
ライヘンバッハ川から上がった死体が隠し持っていた奇妙な紙を手がかりに、捜査が始まる!
コナン・ドイル財団公認、再読必至のミステリ大作!
解説「期待に応え、予想を裏切る」有栖川有栖
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
399
面白かった。内容が内容だけに、さすがに今回は財団公認ではないようだ。有栖川有栖氏の売り文句が秀逸で、まさに「期待に応え、予想を裏切る」ストーリーになっている。結末は、物語途中から、もしかしたらそういうこともあるかな?と思わせるもので、意外性抜群というわけではないが、そうであったら面白いなという、期待値がいやでも高まる展開なので、ほとんどの読者にとって大歓迎ではないだろうか。併録の短編も、とても"らしさ"があって良い感じ。今までこの手のパスティーシュがなかったことの方が意外なくらいなので、アイデア勝ち。 2018/05/21
ヴェネツィア
338
アンソニー・ホロヴィッツによるホームズ・インスパイア作品の第2弾。今回は『4つの署名』などに登場する、スコットランド・ヤードのジョーンズ警部。ワトソンには散々な書かれようのようだが、今回はなかなかに敏腕かつ勇猛、誠実な警官ぶりを見せる。すっかりホームズ役である。ワトソン役を務めるのはアメリカからやってきた探偵社の調査員、チェイスである。モリアーティの死体検分に幕を開けるが、終盤までは、もっぱらデヴァルー一味との攻防である。読者(少なくても私)は20「外交特権」の最後で、えっ、何故?と意表を衝かれるのだが⇒2024/11/07
Tetchy
178
大胆不敵にも作者はホームズとワトソンを一切登場させず、脇役であり道化役だったスコットランド・ヤードの一警部アセルニー・ジョーンズとアメリカから来たピンカートン探偵社の調査員フレデリック・チェイスを物語の主人公に据えた。いわば彼はホームズシリーズにおける「しくじり先生」なのだ。そしてホームズに頼ってきたスコットランド・ヤードの警部が物語の中心になることで警官たちのこれまでホームズという奇人に対して募ってきた本音が描かれるのである。そしてこのしくじり先生は実に奮闘するのに、まさかこんな結末を迎えるだなんて…。2020/09/01
KAZOO
142
前作「絹の家」に引き続いて読んでみました。前作がワトソンの視点から見たものでしたが、今回はアメリカのピン・カートン探偵事務所の所員が出張ってきてライヘンバッハの滝の場面から始まります。私は比較的はじめの方でこの本の謎の筋が大体わかりましたが、このような持っていき方もあるのだなあという感じで楽しめました。昔ながらの推理小説です。この作者の次の作品も読んでみます。2019/06/15
hiro
62
コナン・ドイル財団が公認したホロヴィッツのホームズ物の新作第二弾。ドイルのホームズシリーズは子ども向け全集から入ったので、前作『絹の家』と同じく、この作品も暴力的で子ども向けではないところにまず目が行ってしまうが、『四人の署名』など懐かしい作品の名が登場するだけでなく、レストレイドをはじめ、いろいろな作品に登場した警部たちも登場するなど、ホームズファンへのサービスには満足した。モリアーティはライヘンバッハの滝で死んだのかという疑問は、読んでいる間は忘れて作品に夢中になったが、それは罠。またしてもやられた。2022/11/26
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