火星からの侵略 - パニックの心理学的研究

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火星からの侵略 - パニックの心理学的研究

  • ISBN:9784772415859

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内容説明

一九三八年のハロウィーンの晩に、名優オーソン・ウェルズはマーキュリー劇場というラジオ番組で、H・G・ウェルズの空想小説『宇宙戦争』を基にラジオドラマを実にありありと、いかにも現実の出来事のように放送した。その結果、少なくとも百万人の米国人が恐怖に駆られ、数千人がパニックに陥った。本書で報告する研究は、この放送直後に開始されて、何が集団行動の主な心理的理由と考えられるかを探るために、人々の反応について調査した。……(本書序文より)
 地震,テロ事件など大規模災害では,流言飛語をどのようにコントロールするかがつねに大きな課題となる。パニック発生時のコミュニケーションや集団行動に興味のある人々にとって、本書は今も価値がある。
現在は,核弾頭を積んだ大陸間ミサイルが存在し,その巨大な破壊力に対して,火星人の侵略よりも遙かに強い妄想が人々に生じる可能性がある。またヨーロッパへの難民流入への極端な報道により,人々に行き過ぎた不安とパニックを引き起こす下地は今なお存在している。
 80年前の歴史上有名なこの事件について書かれた本書は,現代にも起こりうる,パニック状況における伝染性のある恐怖の人間心理を詳細に分析したものといえよう。

目次

新版の序(アルバート・H・キャントリル)
1966年版の序(ハドリー・キャントリル)
1940年版の序(ハドリー・キャントリル)
第1章 放送(台本 ハワード・コッチ)
「とても信じられなかった」
第2章 パニックの性質と範囲
「何か恐ろしかった」
第3章 その刺激をどう経験したのか
「ラジオ劇のようには感じられなかった」
第4章 どのような反応が起きたのか
「何かをしなければならない」
第5章 批判力
「わかった」
第6章 批判力を妨げる条件
「とても心配だった」」
第7章 歴史的状況
「問題の多い世界に存在していること
第8章 個別の事例
「個人的背景」
第9章 なぜパニックが生じたのか?
「不安が現実となった」
付録A その他の情報 恐怖が自動車の運転に及ぼした影響 社会科学者による予測/付録B 面接法/付録C 表
訳者あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

84
1938年、アメリカのラジオ局で作られ放送されたドラマが多くの人々をパニックに陥れたことについて当時の放送内容やその後の調査を含めて心理学的研究としてまとめられている。この出来事は以前から知っていた。名優オーソン・ウェルズがドラマの中で実況放送的に火星人襲来を伝えたこと。この本のタイトルに惹かれて読んだが訳本と心理学的な記述ということもあって途中挫折。前半のドラマの再現部分は興味深く読めた。パニックの原因は当時より現代のほうがずっと多いと思う。ネットというのはあっという間に伝わるものだ。図書館本2018/05/12

keroppi

51
読売新聞の書評を見て。1938年「宇宙戦争」のラジオ劇が人々にパニックを引き起こす。パニックに陥った人、冷静に判断した人、それぞれを克明に調査した記録だ。社会や人生や様々な不安な事がパニックを引き起こしているようだ。この前のハワイでの北朝鮮ミサイル誤報によるパニックを思い出した。2018/03/02

へくとぱすかる

49
伝説のラジオドラマの台本が読めるとは! H.G.ウェルズの許可? 「オーソン・ウェルズ」のまちがいでは、と首をひねったが、1940年の原著刊行時には、原作者も存命中で、もちろん2年前のパニック事件もご存じだったというわけ。本書のような現代にも通じるパニック論、マスコミ論を、アメリカでは開戦前にすでに分析していたのだから驚く。ドイツ・日本への危機感もパニックの背景にあったと聞くと、軽はずみな勘違いではないこともわかる。2018/05/19

oldman獺祭魚翁

44
1938年に起きた、ラジオドラマ「宇宙戦争」を信じたによって起きたパニックを2年後に調査した本。実はこの本再読。前に読んだのは40年以上前なのだ。その後この本は心理学やコミュニケーション学の古典とされていた。1960年代再販され、日本では1970位に翻訳が出た。今回は出版社も翻訳も新たに出た訳だが、この本の面白いのは、オースン・ウェルズの許可をもらって冒頭にドラマの台本を載せていることで、前半部分はドキュメンタリータッチの臨場感たっぷりだった事が良く解る。先日の日比谷ビブリオバトルでのチャンプ本2018/01/16

たまご

18
1938年,H.G.ウエルズの「宇宙戦争」をもとにしたオーソン・ウエルズ(ややこしい)のラジオドラマでおこったパニックに対する研究.1940年,1966年発表の復刻版.統計,こんなプリミティブ?って感じで,パニックに関連する要素もかなり恣意的な選択.ですが,低学歴+世相の不安,だけにすませない「被暗示力」を弱めること,「批判力」を強めることを訴えていて,なるほどと. 当時,火星ではなくドイツや日本が攻めてきた,と思った人がいたようで,日本も完全敵だったのだなあと思いました.2018/01/05

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