内容説明
2018年3月に予定される塔内一般公開を契機にふたたび世間の耳目を集めるであろう《太陽の塔》。岡本太郎の最高傑作にして日本社会への強烈なメッセージを内包する大阪万博テーマ館は、若者たちの気概と情熱の産物だった。前代未聞、誰にも経験のなかったこの巨大プロジェクトに、彼らはなにを考え、どのように立ち向かっていったのか。本書は、岡本太郎のもとで《太陽の塔》と「テーマ館」の建設に携わった男たちのインサイドストーリーを収めた非常に貴重な歴史的「証言集」である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
s-kozy
72
今年、内部が一般公開されたこともあり初めて見に行った「太陽の塔」。その根源的なパワーに圧倒されたのをよく覚えている。本書は「チーム太郎」に集められ、太陽の塔の建築の実務を担ったスタッフへのインタビュー集。2011〜15年にかけてのインタビューで建築当時を振り返る形式となっている。まず驚くべきはほとんどが20代であったこと。若い才能に国家的プロジェクトを任せた思い切りがすごい。東京五輪が1964年、大阪万博が1970年。敗戦から立ち上がった日本という国のまさに青春時代であったことがよく分かる。お勧めの一冊。2018/11/06
Tenouji
14
アンフォルメルと日本の匠の融合、が昭和という時代なのか…ゴジラといい、日本人は、不定形なものも、型に落とすのだなw。そこに何かヒントはないか。2018/03/05
makimakimasa
13
塔内のコンセプト「生命の樹」を形にしたサブプロデューサー、地下展示の空間デザインをしたディレクター、党を実際の建築物にするための設計、構造設計、施工の担当者達。皆20~30代で心意気に燃えていた。一番面白かったのは岡本太郎を口説いてプロデューサーに招き入れた万博初代事務総長(亡くなる直前のインタビュー)。テーマ展示を依頼したはずが、丹下健三のお祭り広場を突き破るモニュメントとなり、しかも仮設の予定が永久保存という想定外。今の日本人にあの無駄の塊=芸術は作れないという、最後の著者の熱っぽい語りも良い。2025/01/14
健
10
蔦屋書店に平積みになっていたので新刊かと思って買ったら2018年の出版だった。太陽の塔の話については、他の雑誌でも読んでいるので分かっているのだけど、20代で実際に携わった人たちの話は実に生き生きしていて面白かった。ただ、最後の新井さんのインタビューでは、著者の方が前のめりな感じがしていて少し残念。まぁ、新井さんは岡本太郎をテーマプロデューサーに要請した後の1967年には退任しているから仕方がないのだけど。どっちにしても太陽の塔のようなモノは、もはや日本では作ることはできないんだろうな。残念なことだけど。2024/09/17
yukari
7
感動した。。ベラボーなものを作ると宣言し本当にぶっ立ててしまった太郎はもちろんベラボーなのだが、あれに関わった若者達の熱量もすごい。岡本太郎と仕事ができるという誇り、自分が作るのだという使命感、ただただそういう熱量の塊があの塔を作ったのだということに感動する。たった一回きりのプロジェクト、万博後は解体が決まっていたにも関わらず、ビジネスとかキャリアなど抜きで人生をかけて情熱を持ってやり遂げた若者たちがいたから出来たのだな。そんなストーリーを秘めてそ知らぬ顔でぬんと立っている太陽の塔、本当に最高だなあ。2018/03/19