内容説明
自衛隊に駆け付け警護が付与された南スーダンPKO。在野のジャーナリストによる情報公開請求に端を発した疑惑は、防衛大臣など最高幹部の引責辞任という前代未聞の結末を迎えた。現地の状況を記した「日報」はなぜ隠されたのか。首都・ジュバでは、一体何が起きていたのか。この問題は我々に何を問うているのか──? 公開請求を行ったジャーナリスト・布施祐仁と、南スーダンに14回潜入した特派員・三浦英之。政権を揺るがした「南スーダン日報問題」の内実に、気鋭のジャーナリストが連帯して挑む、調査報道ノンフィクション! 【目次】はじめに 布施祐仁/1 東京×アフリカ(※奇数章は布施祐仁、偶数章は三浦英之が執筆)/第1章 請求/第2章 現場/第3章 付与/第4章 会見/第5章 廃棄/第6章 銃撃/第7章 隠蔽/第8章 飢餓/第9章 反乱/第10章 難民/第11章 辞任/2 福島にて/おわりに 三浦英之
目次
はじめに 布施祐仁
1 東京×アフリカ(※奇数章は布施祐仁、偶数章は三浦英之が執筆)
第1章 請求
第2章 現場
第3章 付与
第4章 会見
第5章 廃棄
第6章 銃撃
第7章 隠蔽
第8章 飢餓
第9章 反乱
第10章 難民
第11章 辞任
2 福島にて
おわりに 三浦英之
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
64
安保関連法の運用実績作りに躍起の政府。日報隠蔽は表層的問題であり、隠蔽せざるを得ない政治的思惑・圧力が、真の問題。将来的な憲法改正が視野・・・と、勘ぐるのも自然。憲法九条と自衛隊。綺麗事だけでは済まされない現実を踏まえて、国民投票して白黒決着つけないからウダウダするしかないんじゃないかな。一方、著者の感情論が散見されることで、本著主題への論旨・正当性が少なからず弱まる感が勿体無い。気持ちは分からないでもないが、ジャーナリスト故に冷静さと客観性は必須。救いは数々の”スクープ”。”義”の表われだと信じたい。2018/03/13
壱萬参仟縁
50
図書館本。根本的には、自衛隊活動領域で武力紛争が発生しているかの事実認定を、政府の恣意的な解釈でいかようにもできてしまう点に大きな問題(158頁)。隠蔽を指示したのは、「派遣継続ありき」の安倍政権の意向を忖度したから(228頁)。憲法九条とPKOの現実との矛盾を覆い隠すことで危険に晒されるのは、自衛隊員(261頁)。生徒には、PKOと国連のことをテストにも出すので、この問題は扱わないが、国内法との関連も注視していきたい。2021/12/28
竹園和明
42
結局、守るべき法律があっても時の政権が狂っていたら何の効力もないという事だ。南スーダンで政府軍と反政府軍による銃撃戦が起こり、それが詳らかになっても防衛大臣は「散発的発砲事案」と言い張り自衛隊を派遣させたまま。彼らの宿営地はその銃撃戦が行われた建物の目の前。大臣は一体何を視察して来たのか。真実を偽り自衛隊を派遣し、日報を隠蔽するもその後出て来る始末。しかもその隠蔽は防衛大臣も了承していた事が後に明らかとなる。自衛隊の人命とご家族の不安など歯牙にもかけず平気で嘘を並べる政府。自衛隊はお前らのツールではない。2019/05/13
おかむら
36
結局稲田大臣が辞任した日報隠蔽事件。同時期に騒がれたモリカケ問題の方が派手に面白くて、どうせ防衛省の隠蔽体質は治らんと、実はあんまり興味なかったのを反省。問題の発端となった日報の情報公開請求した在野のジャーナリストと南スーダン現地を何度も取材した新聞記者の共著。なぜ誰のために隠蔽したのか、戦闘じゃなかったし今は平穏とされてる現地は実際どういう状況なのか(ここ驚く!)、安倍の実績作りのための日本の国際貢献が実際は南スーダンの人々のためになってないという恥ずかしさ。あと稲田、ほんと、しょーもない。保身の塊。2019/05/02
かおりんご
34
なんとコメントしたらいいのやら。第◯次隊として派遣されていた人を知っているだけに、色々と派遣中の苦労が偲ばれます。当時は毎日電話がかかってきたから、「暇なんだろ」と思っていましたが、あれは生存確認と本人の不安から来るものだったのでしょう。同じ国連関係者が銃撃戦に巻き込まれて亡くなった日は、三回電話をしてきましたし。国内にいる身としては、もっと南スーダンの情勢が知りたいのに全然報道されなくてヤキモキしていました。トルコビルは初耳。めちゃヤバイ場所に建っているじゃないですか。三浦さんのレポートがよかったです。2019/10/25