内容説明
ゴーレムからロボットに至る人造人間創造の歴史を描いた「人造人間」のほか、チェコの人々や文化、政治や戦争に関するエッセイ26篇とナチス収容所で書かれた詩9篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
24
著者は、ロボットという名称を創案した人物。小説の「ロボット」を書いたカレル・チャペックの兄。弟のカレルは、小説で有名にした。この点、クイズ番組でも間違えていることが多い。 反骨の士。画家、作家、舞台芸術家、童話、詩、且つジャーナリストと、多彩な人物だったが、政治的発言も避けなかった。1939年にナチスにより政治犯として逮捕される。囚人生活を送り、連合軍による解放目前に、チフスのため病死と推定されている。 本書はエッセイ集だが、著者の多才ぶりを反映して、死刑論や人造人間論など話題も豊富。2018/10/13
ぶうたん
7
ジャーナリストで芸術家の、チャペック兄弟のお兄さんのエッセイ集。イラストも沢山収録されている。弟のカレルとの共作を除くと邦訳は少ないらしいが、本書もユーモア基調かと思いきや、かなり歯ごたえがあり難しいものも多く、そんなところも理由かもしれない。その中でも親本のタイトルにもなった「人造人間」は、人間の機械化を扱ったものでなかなか興味深く、これだけでも読む価値はあると思う。巻末の詩は政治犯として虜囚となり最期を迎えたナチスの収容所で書かれたもので、読んでいて哀しくなる。2018/05/01
刳森伸一
3
「ロボット」等で有名なカレル・チャペックの兄ヨゼフ・チャペックのエッセイ集。エッセイストやイラストライター等の様々な肩書を持つ多才なヨゼフのどちらかといえばジャーナリストとしての文章が多い。軽妙な文体の中に真剣な見解を述べるのが特徴か。特にカレルの死後に書かれた「庭の思い出」と収容所で書かれたとされる詩に心打たれた。2020/02/04
Susumu Kobayashi
3
「山椒魚戦争」などで知られるカレル・チャペックの兄で芸術家のヨゼフのエッセイ集。「ロボット」という言葉はカレルの創案かと思っていたが、実はヨゼフだという。「人造人間」のところはふざけて書いたのかと思う。「そしてコミュニズムは、このような人たちをブルジョア連中と呼ぶ。なぜならコミュニズムは人間を区別して収容する袋を二つしか持たないからだ」(p. 215)。こういうまっとうな感覚を持った人が強制収容所で亡くなったのは残念。2018/05/27
Olga
2
ようやく読了。弟カレルを亡くしたあとに書かれた「庭の思い出」は読んでいて涙が出そうになる。読んでいる側はこの数年後、ヨゼフの身に何が起きるのか知っているし……。2018/08/23
-
- 電子書籍
- 激!勝負飯!! 4 マンガの金字塔