内容説明
明治維新後、天皇による支配の正統性を周知させるべく、『古事記』『日本書紀』がさまざまに図像化されていった。イザナキ・イザナミ神の国生みから、ヤマタノヲロチ退治やイナバのシロウサギ譚、神武天皇、神功皇后の雄姿まで、原典から逸脱・変容しつつも巷にあふれたイメージ群に、「近代日本」の心性と目論見を探る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
信兵衛
29
当初の興味は逸らされたような気はしたものの、新たな見方を教えられたようで、それなりに興味深く本書を読みました。2017/11/30
樋口佳之
24
図画が持つイメージ構成力への注意喚起。末尾で著者ゲームでの漂白された神々との戯れに言及しているけど、読みながら考えたのは艦これでした。/そもそも、日本の伝統的な婚礼式は神々とは無縁であり、盃を交わす三々九度等、ただの家同士の契約儀式/現代の主流となっている神前結婚式は、実は大正天皇の婚礼から流行した新しいタイプのもの/既に主流ではないなあ。他の宗教圏ではどうなのかな。2019/02/04
棕櫚木庵
20
1/3) 副題は「近代国家が求めたイメージ」.明治になって,天皇支配を正当化するために,西洋における聖書物語やギリシア・ローマ神話をお手本にして,記紀神話の図像化・普及がなされた.それらの図画史料に見られる神話の変容と,その背後にある近代日本国家の精神を論じた書.ただ,神話の変容は詳しく指摘されているが,それが,いかなる精神・意図に依るものかについては控えめ.論文的な性格が濃いところに発表されたものなので,厳密さから筆を抑えたのだろうか.しかし,神武の髪型の変遷など,具体的な事例が豊富で面白い.2020/02/11
鯖
16
統一されたイメージのなかった日本神話がその時代、その時代に描かれた絵によってイメージが固まり、変容していく様を記した本。百人一首の持統帝だって十二単きてるもんなあ…。因幡の白兎のサメであるところのワニは大正時代に南洋ブームがあり、日本人の南方起源説を元にした国策としての南進論があり、そもそもその頃、赤道以北の太平洋の島々は日本の領土だったというのにはなるほどなあと。でもワニって、南国の島々にはいない…、まあイメージの問題か。2019/11/03
かんがく
15
想像していた総論的な内容とは違い、国生み、神武天皇、神功皇后など各章一テーマで、神話がどのように描かれたかを絵葉書などから見るという細かい内容だった。あまり興味を惹かれなかった。2020/04/06
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