内容説明
「私たちはまだ呼ばれているのかもしれない。あの土地にしみついた死の匂いに」――それぞれの母親を自殺で失った大学生のまことパン職人の嵯峨。まこは日々、喪失感に怯えては嵯峨の子を欲しがり、そんなまこを嵯峨は、見守っている。お互いにしか癒せない傷を抱えた二人。少しずつ一歩ずつ、捕らわれていた過去から解き放たれ、未来へと飛び立っていく。大人になる直前の恋と、魂の救済の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
173
優しさ溢れる文章で、ちょっと辛い過去から、一歩一歩、前向きになっていくのは、ばななさんらしい物語なんだけど…。まこちゃんも嵯峨も自分を持っていて、強いなとも思う…。だけど、本来なら心にズシーンと響くはずの物語だとは思うんだけど響かず、重く感じましたね。これは体調もあるとは思うけど、読むタイミングを間違えたっぽい。日を改めて、いつか再読してまこちゃんと嵯峨に会いたいですね。2018/12/18
アクビちゃん
51
【2018ナツイチ】母親を亡くしている男女の物語り。こんな真面目に一つ一つの物事を真剣に考えていたら生きづらいよね。でも、私がこんな風にしか物事を考えられない様に、この2人もそんな風にしか生きられないんだよね… 子どもを持つ母親として、この2人の母親には嫌悪感しかなく、よしもとばななさんの言葉は大好きなのですが、この話しはダメでした。母親は、子どもより先に逝くものですが、自らは絶対に許されるものではありません!!2018/11/23
エドワード
37
人間に無く鳥の持つ能力、それは飛ぶことだ。鳥はどこへでも飛んでいける。世界を真上から見ることができる。大学生のまこと、幼馴染でパン職人の嵯峨は、母親たちが神秘主義思想に傾倒し、二人が幼い頃に、師の死の後を追って自殺した。彼らの土地だったアリゾナ州セドナ。ネイティブアメリカンの香りがする自然観が、二人だけが共有する喪失感と鳥瞰的な思考に影響していると感じる。人は時々鳥になりたくなる。様々な大学生たちとの交わりの中で苦楽を経験するまこと、彼女を支える嵯峨、再びセドナへ旅立つ二羽の鳥たちのハネムーンに幸いあれ。2020/08/19
hitomi.s
26
成人しても、まだまだ子ども。今の自分の年齢でも大人ではないなと思うくらいだし。子どもでいい時代にイロイロ重たい事があったまこちゃんと嵯峨君のお話。毎日を、自分を、自分たちを作っていく。 この本。私の大事な一冊だ。そう思った。手探りだし間違ったりすることもあるし、明日がどんなかわかんないような今目の前の今日を、作っていく必死。それが「下手くそでも作ってきた」と少し思えるこの毎日は、ちゃんと楽しい。 まこちゃんを嵯峨君を書いたばななさん、ありがと。2019/05/22
なるみ(旧Narumi)
20
ゼミの先輩たち3人と主人公まこの会話のシーンが一番好きだなぁ、と思いました。2018/04/18