内容説明
All for God──神の道と人の道,「不敬事件」と妻の死,義戦と非戦,そして娘の死と,激しいうねりのなかを生きたこのキリスト者は,自らの弱さを知るからこそ,どこまでも敬虔であろうとした.同時代の多くの人を惹きつけ,『余はいかにしてキリスト信徒となりしか』『代表的日本人』等の著作に今も響きつづける,その霊性を読み解く.
目次
目 次
序 章 回 心
第一章 入 信
第二章 死 者
第三章 非 戦
第四章 再 臨
第五章 訣 別
第六章 宇 宙
あとがき
内村鑑三略年譜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
90
キリスト教の真の意味を誰よりも深く理解し、ひたむきに生きた内村鑑三の生涯を浮かび上がらせる素晴らしい評伝。若松さんらしい真摯な洞察に満ちており、キリスト教に基づいた日本的な霊性について理解を深められる。尊ぶものがイエスと日本という内村鑑三の姿勢が素晴らしい。日本人は年齢を重ねると日本的なものに帰っていく傾向がある。それは悪いことではないが、西洋の文明の精髄であるキリスト教の恵みから目をそらすのはもったないことだ。十字架上のイエスという逆説な存在を、これほど深く理解していた人物がいた事に畏敬の念を覚えた。2018/04/06
Gotoran
60
内村鑑三の思想と言葉を読み解きながらその生涯を辿った良書。回心、入信、死者、非戦、再臨、訣別、宇宙というキーワードを章毎にして、読み手の胸に迫るような著者の巧みな文章で綴られている。内村にとっての基督教が、弟子たちとの濃密な交流を辿る中で、霊性を浮き彫りにしていくことで見出されていく。人間的には不完全だった内村の元を去っていった多くの弟子たちや師弟の逸話が興味深かった。基督教に対して自分なりの信念を持って生涯を貫いた内村鑑三の魅力を旨く引き出している著者の文章に魅了された。2021/06/27
ネギっ子gen
46
【All for God】不敬事件、非戦、無教会、再臨と、激しく生きたキリスト者・内村鑑三。彼は、自らの弱さと不完全さを知るからこそ、どこまでも敬虔であろうとした。今なお多くの人を惹きつけ、響き続けるその霊性を捉え直した書。「あとがき」で、<「読む」とは、それを字義的に解釈することよりも、言葉をもたらした者であるキリストと向き合うことに他ならない。目に映る文字は、そうした霊性の旅の道標だったといってよい。道標の前で止まっていてはならないのだろう。それはいつも、沈黙のうちに行くべき道を指し示している>と。⇒2021/12/29
内藤銀ねず
26
群馬県人だったら誰でも知っている、「心の灯台」内村鑑三。ただ何をした人かと訊かれると、ほとんどの群馬県人は知らないのです。この偉人はクリスチャンなので、例えば学校教育で扱って生徒が信仰に目覚めちゃったりしたら大変なことになるからです。こうして扱いに困ったあげく名前だけは知られている偉人にさせられた内村鑑三の思索を、丁寧に現代へよみがえらせた労作。お気に入りさんから若松英輔さんの存在を教えてもらい、たまたま買ってあったこの本の作者が若松さんだったので大いに驚き、かつ一人で盛り上がってしまいました。2018/03/27
しんすけ
24
改めて内村鑑三を考えさせられた。 彷徨する求道者としての内村鑑三の姿を、教えられたとも想う。 内村は伝導する教育者だった。それは自分を疑い戸惑う教育者だった。教育者とは知識を他に与える人のことではない。学ぶものと共に考え、分からなければともに悩む。それが教育者なのだ。内村はそれができたのだと思う。 内村鑑三の弟子でもあり助手を務めた藤井武が遺した言葉が印象深い。 「先生は矛盾の多い方、矛盾だらけの方でありました。...」これは内村鑑三批判ではない。弟子とともに苦しむ真の教育者の姿さえ観えてくるのである。2022/07/23
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