文春文庫<br> 民族と国家

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文春文庫
民族と国家

  • 著者名:山内昌之
  • 価格 ¥1,527(本体¥1,389)
  • 文藝春秋(2018/04発売)
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  • ISBN:9784168130700

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内容説明

今世紀最大の火種を解き明かす
二十一世紀最大の火種となる「民族問題」。イスラム研究の第一人者が二十世紀までの紛争を総ざらえ。新時代を生きる現代人の必読書。解説・佐藤優

【目次】
第一章 イメージとしての民族と国家 ―レコンキスタから冷戦終結まで―
 1 湾岸戦争とボスニア=ヘルツェゴヴィナ内戦
 2 神話・象徴複合としての民族
 3 二つのナショナリズム
第二章 イスラム史のなかの民族 ―ムスリムと啓典の民―
 1 イスラムにおける民族の系譜
 2 レンズを通して見た非イスラム世界
 3 ムスリム・キリスト教徒・ユダヤ教徒
 4 中東とヨーロッパのキリスト教
第三章 パクス・オットマニカ ―ミッレト制による「諸民族の平和」―
 1 オスマン帝国とアラブ独立王朝
 2 ボスニア=ヘルツェゴヴィナのイスラム化
 3 イスラム国家とヨーロッパ
 4 多民族と平和共存
第四章 愛国心か、ナショナリズムか ―ムスリムの見た外国と異民族―
 1 ヨーロッパの中のイスラム
 2 国名のない国家
 3 フランス革命とオスマン帝国
第五章 ムハンマド対マルクス ―資本主義・労働運動・民族問題―
 1 クウェートとサウジアラビアの原型
 2 「アラブ国家」か、エジプト国家か
 3 民族問題と経済問題
 4 民族モザイクの変容
 5 バルカンの労働運動とアナトリアのアルメニア問題
第六章 「高貴な民」の目覚め ―アラブ人とトルコ人―
 1 ミッレトから民族へ
 2 「高貴な民」としてのアラブ
 3 イスラムから生まれたアラブ意識
 4 預言者の正系とアラビアのロレンス
 5 中央集権化 対 地方分権化
第七章 イスラム帝国の終演 ―国民国家に向かって―
 1 植民地分割か、国民国家の成立か
 2 エジプト・ナショナリズムの開花
 3 ムスリムからつくられたトルコ人
 4 イスラムと複合アイデンティティ
 5 ユーゴスラヴィアの「ムスリム人」
終章 民族と国家のリアリズム ―構想と神話―
補論 新しい中東の分割と断層線 ―「境界の破枠」と新バルフォア宣言―
解説 佐藤優

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

61
1993年に出された新書版はパラ読みしていたが、今回補論も加えられたので通読した。オスマン帝国の宗教を軸にした「柔らかい専制」による「多民族」世界帝国がいかに解体され、その中で「民族」(著者も断っているように、その定義づけの議論には踏み込んでいないが、アイデンティティを重視した、しかも複合的なものと捉えていることは、著作全体から感じる)が多様な姿を現したかを具体例を挙げて論じている。特にバルカン(ボスニアやコソヴォ)、中東のアラブ社会を理解するために本書は必読と思う。コンパクトな補論も今を知るために重要。2022/07/10

シノウ

4
再読。イスラム圏の人たちのアイデンティティは複合的である。オスマン朝での緩やかな国家統合を担っていたのは各宗教、宗派ごとによる自治システムであるミレット制の役割が大きい。フランスからうねりが起きた、土地と国民が深く結びつき国境が大きな意味を持つようなった近代国家とはかなり相容れない概念なのかもしれない。大変読み応えがあるが、また知識を身につけたたびに何度も紐解き考えていかないといけない書籍だと思う。2019/07/14

しんさん

2
「柔らかい専制」オスマン帝国と近代国民国家主義。イスラム史の視角から。2024/09/15

masuamago

2
イスラム教国家だったオスマン帝国の崩壊とその地での国民国家形成にあたってそこに住む人のアイデンティティの確立に関して。自分が日本人としてのアイデンティティを考える時、ほとんど宗教アイデンティティは考慮しない。だけど、中東の人はそうではない。複数のアイデンティティが重層的に存在して、人々の間でズレているから均一的な国民を有する国家の設立は困難になってるというのがよく分かる。この本はかつて新書だったものに補論として2018年現在の中東情勢についての考察が追記されている。非常に興味深くオススメ。2018/05/20

ドバイ

1
30年近く前の本だが、今でもそれよりは内容は色褪せない。中東、イスラム関連の必読書だと思う。2018/05/27

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