内容説明
「日本の鉄道は世界一」という誤解が日本の鉄道を苦しめている。世界で初めて高速鉄道を実現した国、日本。毎年、新規開業や延伸があり、相互乗り入れや増発などでサービスも向上し続けたため、日本人は「日本の鉄道は世界一」と自然に考えてきた。だから新幹線輸出も当然、うまく行くはず、だったーー。日英仏独米の鉄道を比較することで、日本の鉄道のあまりに特殊な立ち位置を明らかにし、漠然とした楽観主義に警鐘を鳴らす、国際比較鉄道論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yyrn
26
オジサンたちは鉄道が好きだ。技術は世界一だし、安全だし、正確だし、時には哀愁も漂わせる鉄道を嫌いになれるわけがない!とでも思っているw。週刊東洋経済には定期的に特集が組まれるほどで、日本の鉄道150年の節目に当たる今年は特に色々なところで取り上げられている。鉄道好きとしては嬉しいが、ただ残念ながらコロナ禍以降はほとんど乗っておらず、鉄道の楽しみ方を忘れそうだが、そんな時、こういう本を読むのは楽しい。▼日本の鉄道と、日本が明治期に導入した際に参考とした英、仏、独、米国の鉄道事情を様々な項目で比較しながら⇒2022/10/21
Tenouji
13
私も漠然と「日本の鉄道は素晴らしい」と考えていたが、どこが良くて、どこが悪いのか、もちろん視点によって違うのだが、いろいろな見方があることを知ることができ、面白かった。多様性が大事だと言いつつ、今の世の中わかりやすい単一のモノの見方が渇望されているような気もします。しかし、論文数で言うと日本の件数が衰退している原因はなんだろう。2018/05/19
新空调硬座普快卧
3
丁寧でありながら冗長でない、バランスの取れた筆致の良い本でした。日本の鉄道の特異性をもっと突っ込んで述べても良いように思われましたが、一般読者向けだとこのぐらいがちょうどよいのかもしれません。筆者の観点にはおおむね同意します。しいて言えば、同じアジアの鉄道と比較するともっと面白かったと思います。高い人口密度、山がちな国土という同じような環境であっても差異が存在していますから、そこから導き出される特質はより本質に迫るものではないでしょうか。2020/01/10
カフェオレ
1
日本の鉄道は世界一である、というイメージを持っていたうちの一人として、世界から日本の鉄道がどう見られてるのかを各国との比較から見ることができたのが良かった。日本は鉄道優位な特殊な国という前提を忘れてはならないと思った。各国それぞれの地理的要因や他の交通手段の発達具合、などに合わせた発展をしているので世界一の鉄道というような言葉はふさわしくないと感じた。筆者のいうように、競合ではなく融合を目指すことの重要性を強く感じた。 就活で鉄道会社を選ぼうかと思っていたが、本書を読んで考え直した。2019/08/22