内容説明
明治40年夏、与謝野鉄幹と若き北原白秋、吉井勇、平野萬里、木下杢太郎が、南蛮文学やキリスト教伝来に興味を抱いて九州でひと月の間、実り多き旅をした足跡を丹念に辿る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐっちー
12
天草に行く機会を得たので予習に図書館で借りました。与謝野鉄幹や若き日の白秋ら、5人の青年らが代わる代わる綴った紀行文『五足の靴』の文字通り足跡を辿る。明治の頃と変わった事も変わらぬ空気も体感できた。で、天草では一部であるけど、五人づれと森まゆみさんの後をついて旅することができた。2021/11/26
橘
11
与謝野鉄幹率いる大人の修学旅行「五足の靴」そのままに、九州を中心とした旅の足跡を辿る。新詩社の若者五人づれの文芸のセンスと稚気を、彼らの作品や境遇を交えながら紐解いてゆく。紀行文としても面白いが、南蛮文学が生まれる素地、そして堅苦しさのない、伸びやかな文芸の息吹きを体験する、ある種夢のような追跡の記録。2019/04/01
T-top
6
書評で気になっていたら、図書館で発見。「五足の靴」は文庫を持っていたので、併読した。 森さんが実際に現地に足を運んでらっしゃるのが説得力がある。 やはり元本が難しいので、時代背景や経緯を解説してもらえて理解が深まった。5人と鷗外の関係とか。 森さんが古い建築物の保存活動をされているのは存じ上げなかった。2018/07/26
ぱせり
5
著者も、五足の靴を追いかけて、九州を旅する。五人の生い立ち、五人の立ち寄り先の歴史・地理・風俗などをからめて、著者自身の一足の靴の紀行文にもなっている。五人の後ろに立つ森鴎外の幻。隠れキリシタンのこと。五足と著者との間に横たわる戦争と原爆。変わらないこと、すっかり変わってしまったことなど。2021/12/10
バジルの葉っぱ
4
五足の靴を読みながらこちらも対応する章をよんだ。五人についての補足的な内容と、森さん自身が五人のルートをたどって旅行した際の旅行記的な内容。九州を旅してみたくなった。2021/06/22