内容説明
同棲している彼女・桃里に、連続殺人犯と似ているといわれたことから、蒼太の日常に変化が訪れる。その変化は、ふたりの関係をゆっくりと蝕んでいく。――回想によって徐々に明かされる蒼太の過去。それは読む者の心を鷲掴みにする。『凍花』がベストセラーとなった著者の長編ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アッシュ姉
74
無差別殺傷事件の犯人と似ていると彼女に言われた主人公。身長や顔立ちの違う犯人と自分のどこが似ているのか、類似点を執拗に探す蒼太に、桃里は不安と後悔を隠せない。次第に浮かび上がる闇の濃さと日雇い派遣で食い繋ぐ生活の辛さが相まって、どんよりした暗さに襲われる。目新しさはないが、そうきたかという展開が待ち受けていて、抱いていた違和感が氷解する。読後感はスッキリとはいかず、どよよん。日雇いバイトとはいえ働いているのにヒモメン。稼いだ金の行方ばかり気になってしまった。2018/07/31
ジンベエ親分
61
斉木香津は「凍花」が良かったので、書店で見つけて迷わず購入。日雇いのバイトで暮らす若い同棲カップルの話が、桃里の視点からと蒼太の視点からそれぞれPinkとBlueという章タイトルで語られる。ある朝、桃里がテレビで報道されている無差別殺傷事件の犯人に蒼太が似ている、と言うのが物語の起点。一見、カップルの平和な日常の話のように見えて、蒼太のバイト先の人間関係、毒親の記憶、桃里に指摘された犯人への執着、それらが徐々に炙り出されてくることに桃里がほぼ気づかないのが嫌~な感じを増幅させる。ラストは凍りついた。秀作。2019/01/05
えみ
53
偽りによって生まれた悲劇の犠牲者は、間違いなく偽りを信じ込んでいた相手だろう。しかし一番の被害者というのならば偽りを信じさせていた本人である。彼に起こった事柄すべてが幻影であったのならば全く違った未来を感じるとることができたかもしれない…肉体的に無傷でも、精神的にはとっくに殺されていた。死人が自分の死に気づかずに、生者と変わらずこの世に彷徨っているから狂っているように見えているのだ。そう彼はもうとっくに…。逃げ場のない空間でいつ飛び出すかもわからない気まぐれな攻撃に耐える日々は何を生んで何を滅したか知る。2023/09/16
カムイ
50
初読みの作家。イヤミスなのだろう❗️嫌いではないが終わり方が呆気なかった、其でも蒼太の歪んでいく過程はドキドキした。取り扱った題材は手垢の付いたものばかりであるがライトなミステリーとしたら良い出来でした。2022/03/27
dr2006
43
装丁が綺麗で好き☆虐待や無関心、歪んだ愛情の中で育った人のことは、それを経験していない人には理解出来ない。この小説を含め情報として得たことは結局一般論や想像で、他人の心の損傷は人夫々だ。それをこの本で学んだと思う。日払いの倉庫業務に従事する主人公の蒼汰は、同じくスポットのバイトをしている桃里の家に転がり込み同棲している。純粋に愛されたくて蒼汰に合わせ、幸せな未来を目論む桃里。一方、蒼汰は幼少期の母との歪んだ関係のせいで本当の自分を抑制している。そんな演技は徐々に崩壊していく。精神が元気な時にどうぞ。2024/09/03
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