中公文庫<br> 怠惰の美徳

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中公文庫
怠惰の美徳

  • ISBN:9784122065406

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内容説明

大学にはほとんど出席せず、志望した新聞社は全滅。やむなく勤めた役所で毎日ぼんやり過ごして給料を得る。一日十二時間は眠りたい。できればずっと蒲団に居たい……。戦後派を代表する作家が、怠け者のまま如何に生きてきたかを綴った随筆と短篇小説を収録。真面目で変で面白い、ユーモア溢れる文庫オリジナル作品集。〈編・解説〉荻原魚雷

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

128
まず表紙の絵がこの本を語っている。いい絵だと思う。怠惰、世間一般では怠け者、だらしない、やる気がないそんなとらわれ方をする言葉で評判はよろしくない。著者は戦後から昭和30年代にかけてそんなことをエッセイとして仕立てた。生き物から怠惰のヒントや答えを得たり、戦後の子供たちを気の毒がったり他怠け者称賛の作品が続く。ぼんやりしていると意外とおもしろいことの気づいたりするものだ。うっかりしているとそんなことも通り過ぎてゆく。ぼんやりもこれで結構大変なものだ。怠惰も同じく大変なことだと思う。いい作家に巡り合った。2021/10/09

シナモン

101
タイトルと表紙が魅力的過ぎる😂「やる気が出ない」「布団から出たくない」親近感わきまくり。とにかくまた今日を過ごせばいい。明日は明日でどうにかなるだろう。「百円紙幣」が面白かった!2024/05/02

アナーキー靴下

87
お気に入りの方が紹介していた梅崎春生作品が面白く、何冊か読みたいと思いつつ、まずは図書館にあったこの本から。随筆と短篇小説ということだが、その境目を見極めるのが難しい。随筆は、屁理屈だって立派な理屈、といった、鋭いのかナマクラなのかわからない面白さ。ネットスラングの「低みの見物」という言葉が浮かぶ。とはいえ貧富差や地位的低さではなく、地に足ついた位置から、理想論者の絵空事を眺めている感じ。皮肉屋だけど世を拗ねたところがないのが良い。地に足どころか蒲団にもぐり込んで地面にべったり寝そべっているからだろうか。2021/08/10

災害大嫌い美少女・寺

65
梅崎春生、初めて読んだ。この本、本が好きな人なら、読んで損したと思う人はたぶんいない筈だ。読み進めるのが楽しかった。表紙のタコからして何とも言えず良い。編者の荻原魚雷の手柄でもあろう。楽しい梅崎春生入門である。前半はエッセイ、後半は7篇の短篇(とは言うものの、私小説なのでエッセイの延長的内容)。ノホホンとした気分を貰いながらも、戦後間もなく書かれたエッセイは、梅崎春生版『堕落論』的な味わいもある。結構辛辣に人を見ているのだが、柔らかいとぼけたユーモアに上手くくるんでいる。小説の方も面白いとしか言えない。2018/10/11

藤月はな(灯れ松明の火)

59
タイム・パフォーマンス、コスト・パフォーマンスが重要視される昨今の逆風を歩むようなエッセー集。怠け者の真髄ここにあり!個人的に作者の転居癖に心惹かれる。何故なら、一定の場所に長く、居座るとだんだん、地金が出てしまい、人に勝手にガッカリされたりする度におさらばしたくなる私にとって即、転居に移れる行動力が羨ましくて仕方ないのだ!また、邪魔になったから猫を捨てる、花火嫌いな犬を閉じ込めた上で鼠花火を嗾け、躾けるなど、今の時代だったら動物虐待である。ですが、ご安心を!ちゃんと作者には天罰が下りましたから!2023/09/10

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