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内容説明
戦後長らく学校教育の現場においては、近代史が軽視されてきた。幕末以降の歴史について知らない日本人があまりにも多く、それがわが国の大きな難点となっている。本書は、日本の近代史を学び直し、新しい「近代史の常識」と「この国の自画像」を提示する試みである。「人間が歴史を動かす主人公である」という視点から、吉田松陰と、岩倉具視から乃木希典まで、明治を築き上げた七人の人物を中心に取り上げる。 ○吉田松陰――この国の未来を守るための戦略 ○岩倉具視と大久保利通――近代日本を生み出すための謀略 ○伊藤博文――世界に恥じない近代立憲国家を目指して ○桂太郎――近代軍制を確立し、日清戦争に挑んだ軍官僚 ○児玉源太郎――日露戦争勝利を導いた男のもう一つの戦い ○小村寿太郎――日英同盟を締結させた気力と胆力 ○乃木希典――松陰の志を継ぐ宿命を己に課して etc.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mazda
25
近代日本の功労者について、詳細に記載していてとても読みやすいです。もしも吉田松陰がいなかったら、三太郎(桂太郎、児玉源太郎、小村寿太郎)がいなかったら、そう考えると、ぞっとするような、このような偉人たちに恵まれた我々は、本当に幸せだな、と思いました。以前読んだ本でも書いていましたが、幣原はやはり日本を間違った方向に導くきっかけを作った人だと思いますが、その後、間違った道から正しい道に戻してくれる人が出てこなかった(もしくは、出てきたが表舞台には出てこなかった)のは、とても残念なことです…。2015/02/13
佐島楓
17
日本という国を改めて考える上での総括として読んだ。大切なのは、自分の「まごころ」という記述に首肯。歴史を学ぶということは、これから進むべき道を探るためと同時に過去の過ちを繰り返さぬ意図もあるべき。自分の信念とはいったい何か。矜持を持てるだけの人間になっているか。かなりがっくりするニュースが多い中、今一度きちんと日本史を勉強する時期になっていると感じた。2012/06/13
Book & Travel
11
いまいち弱い近代史の知識を補いたくて、図書館で目に留まって借りた本。明治時代に活躍した伊藤博文、明治の三太郎(桂太郎、児玉源太郎、小村寿太郎)ら7人に焦点を充てている。彼らの行動の裏にある心情や意図について断定的に書かれ文章が強引な印象を受けるところもあるが、まとまっていて読みやすくこの時代の人物の関わりを知るのに役に立った。最終章で述べられる日本人のこころのあり方ということについては納得させられるところがあったが、当時の一般庶民はどういう気概をもって生きていたのかも気になった。この本の主題ではないが。2015/10/18
せいや
4
近代史の中で知っておくべき偉人8人をピックアップ。維新の先駆けをつくった吉田松陰、奇跡の維新を成し遂げた岩倉具視、大久保利通、近代国家としての日本を固めた伊藤博文、日露戦争に勝ち独立を維持した桂太郎、児玉源太郎、小村寿太郎、そして日本人のこころ、至誠を象徴する乃木希典。これら誰一人欠けても明治の繁栄はなかっただろう。開国し列強の脅威にさらされながらも乗り越えた偉大な人物が次々と輩出されたのがこの時代の特徴といえる。2019/06/28
鉄人28号
3
☆☆☆☆☆ 吉田松陰、岩倉具視、大久保利通、伊藤博文、桂太郎、児玉源太郎、小村寿太郎、乃木希典の事績を追いながら日本近代史(特に幕末から明治)を解説した本である。私利私欲を去り国のために全身全霊を投じたこれらの人々には、共通した「こころ」があった。日本古来の伝統的な精神である。この本の中に、「『歴史を動かすもの』は、物質なのか、それとも人間の精神なのか」という問いかけがある。日本の歴史は、まぎれもなく日本の心、日本人の精神が動かしてきたものだと思う。武士道はそれが凝縮されたものである。2016/04/25